どもども~(^^)v
「松ぼっくりのような形の花」といことでドライフラワー好きな人には知られていましたが、あの花が園芸好きな人にも認知され人気が出てきたバンクシアの育て方について。
世界最大規模の自然環境保護団体であるWWF(世界自然保護基金)のオーストラリア支部によると、
現在173種類のバンクシアがタスマニア島を含むオーストラリアとパプアニューギニアの一部地域で確認されています。
バンクシアはオーストラリア全土に分布していますが、基本的には内陸部には分布せず海から比較的に近い場所で自生しています。
ここでは比較的に高温多湿に強く、そこそこの寒さに耐え露地越冬ができる比較的に育てやすい品種を一覧的に紹介します。
またどの種類のバンクシアにも共通して気を付けた方が良いことがあります。
このことについてもまとめました。
育てやすい4種類
鉢植えやシンボルツリーなど「庭木」として育てやすいバンクシアは主に4種類あります。
なぜ4つという少ない種類なのか、という理由ですが「僕が実際に触ってみて」という完全なる主観です。
高温多湿・寒さに対してある程度優れている、手間がかからない、水やりに慎重にならなくて良い、という点を重視しています。
長年バンクシアを生産してきた国内では数少ない生産者さんから助言も頂いてますし、今回取り上げた4種類は実際に僕も数年に渡り育て販売した経験があります。
それでは4種類の紹介です。
スピヌロサ(ヘアピン バンクシア)
葉が細長く柔らかいバンクシアです。
スピヌロサはいくつか種類があり、英名でヘアピン・バンクシアと呼ばれている品種が有名ですが樹高が成人男性の腰あたりの高さで落ち着くバースディ・キャンドルなどがあります。
なお、スピヌロサの花は下記にあります。➡ スピヌロサの花
エリキフォリア (ヒース バンクシア)
個人的に「育てやすい4種類のバンクシア」の中でこのバンクシアが一番育てやすく気を使わなくて良いと感じています。
ヒースバンクシアのヒースですが、ヒース(Heath)=エリカ、でツツジ科のエリカ属の常緑樹のことを指します。
ジャノメエリカやアワユキエリカなどが日本国内で流通していますね。
確かにエリカに葉の感じがそっくりです。
触感も柔らかく花が咲いていない状態ですと見間違える人もいるかもしれません。
咲き終わりですがエリキフォリアの花ももちろんバンクシアしてます。
インテグリフォリア (コースト バンクシア)
スピヌロサ、エリキフォリアと柔らかい印象(実物も柔らかい)の品種が続きましたが、インテグリフォリアは堅いです。
コーストバンクシアと呼ばれるだけあり、海岸近くにも自生しています。現地ですと砂丘のような海岸から山合いと分布は広いみたいです。
海岸に近い位置に自生しているせいか保水力のある土に植えても根腐れしにくいです。
日本国内でですが、大雨が降り2週間経っても水が引かないような場所で地植えされて育っているコーストバンクシアを見たことがあります。
インテグリフォリアはラテン語で「全体が緑色」という意味のようですが、このバンクシアの葉の裏は白いです。
なんとなく海岸沿いによく生えているシャリンバイっぽく見えます。
個人的にですが、一番育てやすいバンクシアはこのコーストバンクシアだと思います。
ロブル (スワンプ バンクシア)
花が大きいバンクシアです。
開花直前の青紫色の花穂がものすごくカッコイイです。
上の画像はあまり見る機会のない「咲き始め・枯れ始め・枯れた」3種類の花の状態です。
画像に写っている青色っぽい状態が咲いている状態です。
こちらも葉が堅いです。しかも葉1枚が大きいです。
葉の縁がギザギザです。線毛が白いせいか一見すると葉は白っぽく見えます。
肥料切れとかではなく、気温が10℃を下回る時期になると徐々に葉が黄色っぽくなります。
インテグリフォリアはシャリンバイっぽいなと思いましたが、こちらのロブルの葉はビワの葉っぽいなっという第一印象でした。
花は咲き終わっていますが、茶色くなり枯れた様子も良いですね。
樹高は2m~5mくらいと花が大きな割に小型です。
また他の種類のバンクシアと違い、このスワンプ・バンクシアは枝の先端に花を付けやすいです。
育て方
上の4品種が育てやすいと言える2つの理由があります。
耐寒性
一つ目は耐寒性についてです。
結論から言いますと、上記の4種類は-5℃程度しか下がらない地域でしたらまず問題なく露地で越冬します。
関東以西の暖地と呼ばれる平地の地域や都市部でしたら、寒さが直接的な原因で枯れる心配はしなくて良いでしょう。
上記の4種は霜にも強く、寒さによる葉に入る痛みもほとんどありません。葉が黄色くなる程度で済む場合が多いです。
たまに見かける「常緑樹だけど寒さにあたると葉を落とす」ということもありません。
個体差はありますが、-8℃でも大丈夫だった、という株もあります。
しかしながら気温は-8℃まで下がらないものの
滋賀県や北信越地方のような頻繁に雪が降り、降った後に何日も溶けずに残っている地域での地植え越冬はやや難しいのではないかな
と思います。
このあたりの情報は僕が住んでいる地域は雪が降ることが少ないので、どなたか人柱になった方からの情報がありましたらほしいです。
寒さや雪などがさらに心配な方はひとつの目安として、
ユーカリのポポラスやミモザアカシアやギンヨウアカシアが露地で越冬できている地域でしたらこの4種のバンクシアは問題ありません。
下記リンクは寒さ以外で植物が枯れる原因についてです。
耐暑性
一般的に多くのオーストラリア植物の植物は高温多湿、特に80%を超える高湿度に弱いモノが多いと言われています。
同じような印象をお持ちの方が多いのではないかと思います。
実際にいくつかのバンクシアは日本の高温多湿の夏を越えられません。
特に西オーストラリアに分布している種類です。
夏越しさせるのにも庭植えではなく、鉢管理にして日陰で風通しの良い所に逃がすなど、暑さを避ける「ひと手間」を行っても枯れるモノが多いです。
深く言うまでもないですが、上の4種は全国各地で観測史上最高気温を連発した2018年の夏を問題なく超えています。
湿度に関してもまったく問題がなく、鉢植えだったので水切れが心配で毎日3~2回は水やりをしていたくらいです。
剪定は必要なの?
バンクシアは基本的に剪定の必要のない樹と言われています。
ですがまだ株が若い場合はともかく、4年目の株などそれなりに育った株は2つの点から年に1回で良いので剪定を行った方が良いと考えています。
ポイント
- 流通しているバンクシアのほとんどは原種のせいか自由奔放に伸びやすい
- 分枝する地点を作るとつぼみを上げる種類が多い
となります。
バンクシアの剪定の方法は他の木々の基本的な切り方と同様で、
- 他の枝と重なり生育の阻害をしそうな枝
- 自然の状態では育つ過程で必ず枯れただろう枝を切り取る
他の枝の生育を邪魔している・しそうな枝は切り取ってかまいません。
「透かす」程度の軽い感じで良いです。
重なっている2本の枝の下側を切り取りました。
理由は上の枝につぼみがあるからです。ちなみにいまにもハサミで切り取られそうな枝は今年開花し朽ち果てた花の残骸が残っています。
なお剪定する時期は各種類の花の盛りが過ぎてから(エリキフォリアの場合は5月下旬ごろ)。
それと冬と夏の時期には剪定は行わない方が良いです。
最悪切ったことで枯れる場合もあります。
剪定の様子ですが当初はこのような感じだったのが、
こう見ると透いたことで、剪定後の方がスッキリして見えますね。
込み入った枝を切るのは剪定の基本ですが、バンクシアはそのような切り方で良いです。
また、
上の画像のように枝の半分の位置で切っても新しく小さな枝が出てきます。
このような中途半端な位置で切ることで、分枝する「点」を作りエリキフォリアやスピヌロサなど「点」からつぼみを上げる種類のバンクシアのつぼみを上げるポイントをいくつか作ることができます。
ただし分枝する「点」を作ったからと言っても必ずつぼみが上がるわけではありませんのでご注意ください。
つぼみが上がる可能性が少し高くなる、という「やらないよりかはやったほうが良い」という感じです。
プロテオイド根
この記事内で2番目にお伝えたえしたいバンクシアのあまり知られていないことです。
ちょっと専門的な話になりますが、バンクシアには「プロテオイド根」と呼ばれる他の植物にはあまり見られない構造をした根を持っています。
根が塊になっていることからクラスター根とも呼ばれます。
画像の根鉢の白く丸い箇所がそれです。
プロテオイド根が何を行うかをざっくり・おおまか・簡単・簡潔・明瞭・一言で表すと、
三大栄養素の1つであるリン酸を吸収することにやたら特化した根です。
多くのバンクシアが自生している土壌は極端に痩せている大地の場所がほとんどで、
そこでちゃんと育つのは痩せた大地の中に存在している超少量のリン酸を吸い上げることができるからです。
コーストバンクシアが砂丘で自生しているのもこの根のおかげでしょう。
そのため
ココに注意
よく肥えた土壌や化学肥料がバッチリ効いた培養土に植えこむと花が咲きにくくなったり(花穂が上がってこない)、
マグネシウムなどミネラル分が不足しやすくなりその結果として生育が悪い(育ちが良くない・葉が黄色くなり落ちる)といった「肥料過多」のような障害が現れる可能性があります。
最悪枯れます。
プロテオイド根が化成肥料などの化学的に合成されたリン酸や天然有機系のリン酸を嫌う訳ではないですが、
万事に通ずることで「しすぎは決して良くない」ということです。
それではどのような土や肥料やたい肥が良いかと言いますと、
- 8割ほど赤玉土・鹿沼土をバランス良く混ぜ、残りの2割は草炭
- 追肥はリン酸が少ない肥料を株の状態を見ながら。目安は多くても半年に2回ほどで。
もう一度書きますが、
プロテオイド根はリン酸がほとんど存在していないような土壌からリン酸を吸収します。痩せたこけた土壌のほうが育ちが良い場合が往々にしてあります。
上手く表現できませんが、
いかにも土!という土が良いです。
砕いて砂状になった赤玉土に草木炭がちょろっと混ざってるだけでも十分です。
それと、くれぐれもバラのようにバンバン開花してほしい植物のそばにバンクシアを植えていけないですからね。
肥料分が水で流れ何かしらの影響を与えるかもしれません。注意してくださいね。
頭に入れておこう
バンクシアを植える時に気をつけることを繰り返しますが、
- 庭植えでも鉢植えでも植える時にはリン酸分が多い土を使用しないこと
- 多肥の場所に植えたい植物や定期的に追肥する植物の近くに植えない・鉢植えの場合も置かない
ちなみにプロテオイド根はオーストラリアや南アフリカに分布しているプロテアやリューカデンドロンなどの多くのヤマモガシ科に見られます。
そのためこのやり方はそっくりそのままそれらの植物に当てはめることができます。
バンクシアを育てたり販売したり庭木として植えるときにはプロテオイド根の存在は頭に入れておいてくださいね。
バンクシアについて、この説明ができるとお客さんから一気に信頼度が上がりますよ。
肥料と培養土が販売されました
2023年10月2日に肥料や堆肥のメーカーの花ごころより 「オージープランツ用の肥料」が販売されました。
専用のモノが販売されたので、
プロテオイド根を持つ植物への追肥や植え替えで悩まれる方はこちらを使用されるのもアリかなと思います。
気になる方はこちらへ →花ごころ オージープランツの肥料
リグノチューバ(Lignotuber)
独自の生物が多いオーストラリアですが、バンクシアも含めオーストラリア原産の植物も独自の進化をしているモノが多いです。
そんな独自性の強いオージー植物の中でバンクシアとユーカリしか持っていない生態があります。
リグノチューバー(Lignotuber)と言って株の地際の部分や地面に近い幹一部を肥大化させ、そこから花や枝を出現させる機能です。
いわゆる「再生器官」と呼べるモノです。見た目的にはアフリカの多肉植物や樹木やベゴニアが持っている「塊根」に近い感じです。
リグノチューバーの役割ですが、山火事が起こった場合に地上部分が焼け落ちたとしても、焼失の確率が低い地面に近い箇所にこのような機能を携えておくことで、たとえ火事が直撃してもこの部分から再び芽を吹かせることができる、というものです。
バンクシアの小苗を育ててると3年目ほどで地面に近い部分の幹がアリが入ったかのようにブクブクになったり、株元が肥大化しトックリ状になったりします。
これらは見ためがややグロいので切り取りたくなりますが、何かあった時のために残しておいた方が無難です。
つぼみと花
開花の様子
開花の様子です。
花はヘアピン・バンクシアです。
※個体差があるので絶対にこの時期につぼみが来ます、というものではありません。
9月の下旬あたりに気がついたらつぼみっぽいものが出来てました。
そこから目立った動きはなく、一ヶ月ほどするとこのように「松ぼっくり」のような見た目になります。
この姿が個人的に一番好きな状態です。
そこからさらに一ヶ月ちょっと経過して、ようやくバンクシアの花っぽい姿になります。
ですがまだ開花していません。
さらに数週間経過して赤色の線というのかヒモっぽいものが出てきます。
正確には湾曲してる赤い線っぽいものが外へ出てきて開花完了です。
つぼみっぽいものが節と節の間に現れてから約4ヶ月かかります。
花の大きさは株の大きさにより変わりますが、株が小さいから咲かない、ということはありません。このヘアピン・バンクシアの樹高は50cmほどしかなかったので。
害虫
害虫はコナカイガラムシですね。
幹にも花にも葉にも付きます。
もう一種類あります。アブラムシが花に付きます。
アブラムシにも注意してください。
その他オーストラリア植物はこちら
その他の種類のバンクシアをお求めの場合はこちらから➡ 当ショップのバンクシアのページへ。
というわけで今日はバンクシアについてでした~
ではでは~(^^)v