どもども~(^^)v
今日は鮮やかな青花のエキウム・カンディカンス (Echium candicans)についての育て方になります。
エキウム・ファスツォスム(Echium fastuosum)とも呼ばれることもあります。
あの鮮やかな青花に憧れを持っている人は多いのではないでしょうか。
耐寒性は-3℃ほどあるので都市部などでは露地越冬しますが、いくつか注意することがあります。
余談ですが筆者はエキウム・カンディカンスを10年以上栽培しています。
画像とデータ
- 学名:Echium candicans
- 別名:宝石の塔、マデイラの誇り
- 分類:ムラサキ科
- 原産:マデイラ島(ポルトガル)
- 形態:耐寒性多年草
- 耐寒性:USDA 9b(-3.9℃前後)
- 花期:春
青い花がもっとも特徴的なエキウムです。シルバーグレーにも見える葉もなかなか味があります。
ちなみにエキウム・ファスツォスムというエキウムがありますが、カンディカンスと同じものです。
種播き、挿し木、開花、耐寒・耐暑実験、と8年くらいかけてこの植物についてはほぼやりつくしたかな、と思うほど個人的に愛着がある植物です。
草丈は2m、株張りは2mを目安に。
スポンサーリンク
育て方
耐暑性
エキウムを検索すると
- エキウムは蒸れに弱い
- 日本の夏はエキウムにとっては暑すぎる
ということを書いてあるサイトを見かけることがありますが、
このカンディカンスに限っては高温多湿の気候でもまったく問題なく意に介さず育ちます。
確かにエキウムの中には細長い白葉で赤花で花穂が2m以上になるウィルドプレッティのように日本の高湿度の夏に強くない種類が存在しますが、
カンディカンスは、逆に真夏の水切れに注意してください。
8年以上育ててみて何が大変だったか、と聞かれたら「水やりです」と即答します。
僕のお客さん(名古屋市在住)で地植えして3年目の株を真夏に水切れが原因で枯らしている方がいます。
予想に反して水を欲しがります。
気温が20℃を超え始める時期になると徐々に水を欲しがりますので、気を付けてください。
かと言って水持ちのよい保水力のある土に植え込むと根腐れを起こしやすいです。
ココに注意
根が呼吸できるように腐葉土や軽石、パーライトなどを入れて水はけはよくした土に植えてください。
水はけを良くしたいときには特に細かい天然鉱物のゼオライトはオススメです。
耐寒性
これまたエキウム・カンディカンスを育てようかと思う時に気になるのが耐寒性ですね。
温暖な気候を好む、という表記があると「寒いとダメなのかな・・・」と連想しますよね。
しかしマデイラ島には1800m越えの山があるせいなのか、ロシア近郊でも自生しているエキウム・ルシカムや中欧の町中でよく見かけるエキウム・ブルガレほどではないですが、それなりの耐寒性は持ち合わせております。
それぞれのエキウムについてはこちらから。
露地放置
それで具体的にどれくらいの耐寒性があるか知りたかったために
実生4年目の10号鉢で育てた株張り60cmほどの株を露地にて放置し耐寒実験
ということを行いました。
なかなか実生4年目という株で耐寒実験を行った人はいないんじゃないかなっと思います。
ちなみに当地は温暖な愛知県ですが標高が約100mの地点です。
結果は
-4℃を下回るとアウトです。
-5℃になった日に完全に枯死したのを確認しています。
ココに注意
-3.6℃~-2℃の間は葉が萎れたり見た目なんとなく危ない感じはしましたが生育に問題はありませんでした。
寒さで枯れた場合は、葉が萎れたままで葉先を中心に全体的に灰色っぽく霜焼けした感じの見た目になります。
また想像ですが最低気温が-3.6℃前後という日が2週間以上連続で続く地域での越冬は難しいと思ったほうが良いです。
さらに小さい苗の場合は氷点下でもちょっとキツイかもっと思います。
上記に該当する地域や寒冷地と呼ばれる地域でもこのエキウムを育てたい場合は鉢での管理をオススメいたします。
この場合は冬季は室内に入れて越冬、という方法が前提となります。
また霜や雪ですが、-3℃ほどの気温で降りる霜・雪は問題ありません。多少葉の先が傷んだりする程度で済みます。
しかしながらすぐに溶けるが30cmほどの雪が頻繁に降るような地域はNGです。
以上を踏まえて最低温度が-4℃前後になるかならないかの地域で露地で越冬できる具体的な場所ですが、
都内近郊でしたら横浜や千葉市あたり(23区内はどこも問題ないかと思います。)、中京圏は豊橋~安城~名古屋、桑名~伊勢間あたり。浜松~静岡間もOKです(岐阜県はどこも厳しいかと思います)。
関西でしたら豊中市~大阪市内~堺、神戸~姫路、中国四国地方は瀬戸内海に面した都市、九州では耐寒ゾーンマップで9aの地域はほぼ問題ないかと思います。
開花
露地管理ですと、3月中旬あたりからこのように葉の中心につぼみっぽいものを見つけることが出来ます。温室ですと2月中旬くらいです。
そして徐々に茎が上に伸びていき
このように塔が立ち始めて「エキウムらしさ」が出てくるのには、つぼみを発見してから約3週間くらいかかります。
さらに伸び塔が立ち始めて3倍くらいの大きさになりようやくつぼみに色が付き開花します。
つぼみの確認から開花までは約40日くらいかかります。意外にカンディカンスの開花は時間がかかります。
蜜源植物
アカシアやお茶の木(カメリア)、ニセアカシアやレンゲなどのマメ科の植物など、花期が他の植物と比べ長かったり他の植物がそれほど開花していない時期にミツバチが蜜を求め集めることができ、それらの集められた蜜が美味しい植物を総称して蜜源植物
と呼びます。
ただ花期が長くてもいいわけではなく、良質な蜜が取れるかどうかも蜜源植物の重要な要素です。
人間さんが食べて美味しい・安全かどうかって話です。
エキウム・カンディカンスは開花し満開を迎え咲き切るまで約2カ月くらい要し1株で花芽がたくさんでき花数も多いためか、欧州の温暖な地域では古くから養蜂家さんの間では蜜源植物として使用されてきたようです。
肥料が必要!
セリンセについてのブログでも記しましたが、オンファロデスやファセリアなど、特に春に咲くムラサキ科には際だった特徴なんじゃないかと思います。
開花中はとにかく肥料を欲しがります。
植えた土に肥料分が少なく咲き始めると、というかエキウム・カンディカンスはつぼみが出来始める頃から下葉が黄色くなり始めます。
そのため地植えでも鉢植えでもマグァンプKなど長期間に渡ってゆっくり効くものを適量入れ、また新しい培養土や肥料がしっかり効いている土に植え込んでください。
そうしても葉が黄色くなってきてしまった場合はサフィニアの液肥など多花性の植物のための液肥を週3回くらい使用しつつ、IB化成肥料を株元に置く、といった処置で良いです。
肥料が切れたからといって簡単に枯死する植物ではないですが、
注意ポイント
肥料分が少ない株は花の終わりが圧倒的に早くなります。
また、鉢植えの場合ですと最低でも8号鉢に植え込まないとつぼみの塔が出来ず「エキウムっぽく」開花しませんのでご注意を。
地植えの際は寒肥をしっかりすき込むと良いです。
開花までは最低でも1年
種播きから開花までは、どんなに上手に育てることができても1年は必ずかかります。
単純に
参考までに
- 春播きの場合は開花は翌年の春になります。
- 秋播きでしたら開花は翌々年の春になります。
挿し木でも花芽になる芽を切り挿し活着しましたら半年くらいで開花まで持っていくことができますが、これをピンポイント・100%の確率で行うことはかなり難しいです。
花芽だと思って挿しても花が咲かないことが多いです。
どっちにしても挿し木でも実生でも1年ほど開花まではかかるものだと思ったほうが精神衛生的には良いかも。
植え替えの時期など
植え替えの時期ですが、7月~8月と1月~3月は避けたほうが良いです。
根拠はありませんが、植え替えをしてそこそこの株でも枯れたのが8月の真夏が一番多かったからです。
1月~3月は温室のような施設内でしたら問題ないですが、露地管理の人は避けたほうが一般的に無難、というのもその理由です。
害虫ですが、モンシロチョウの幼虫とアブラムシがたまに付き、アブラムシが新芽に付くのでご注意ください。
スポンサーリンク
というわけで今日はエキウム・カンディカンスでした~
ではでは~(^^)v