どもども~(^^)v
エキゾチックな形で花色が印象的なグレビレアについてまとめました。
「オージープランツ」と呼ばれる植物の中での知名度的にユーカリ、アカシアに続き知名度があるのではないかと思います。
ここではグレビレアに関する軽い知識や耐寒性についてや高温多湿の環境でも大丈夫かなどざっくりとした育て方、種類や品種の紹介をします。
グレビレアって何?
グレビレアはヤマモガシ科シノブノキ属の常緑樹です。
ANPSA(Australia Native Plants Society)という1957年に設立された会員9000人のオーストラリア植物に関する団体によると、約360種類が確認されており、そのほとんどがオーストラリアを中心に分布しています。
1800年代後半にはすでに英国をはじめドイツなど欧州では試験栽培が始められ交配も同時に始められているため、原種と園芸種を含めるとグレビレアはかなりの数の種類があります。
オーストラリア原産の常緑樹の中では園芸品種が一番多いのではないかと思います。
分布地域としてはオーストラリアの東海岸地域から西海岸地域の南部を中心ですが、全土に渡っています。
グレビレアは樹高が2〜3mほどのいわゆる「ブッシュ型」と呼ばれる低木の種類が多く、中には20m以上の樹高になる高木の種類、横に伸びていく地這性やほふく性のモノもあり、
河川敷や海岸、岩場、山間部、砂漠地帯と分布環境が多岐に渡るせいか生態は多様です。
花について
グレビレアは花の形も咲き方も個性的です。
100花以上集まり花序を形成する種類や1輪咲き、四季咲き性、一季咲き性の種類など、開花する状態も様々です。
花期は種類や品種により異なりますが、冬から春の間に開花する種類が多いです。
花は「ソラマメから線が飛び出している様な形」や「カタツムリのような形」をしていて大きさや色に違いはあるものの、1つ1つの花の形はどの種類も同じです。
グレビレアは英名でスパイダーフラワー(Spider Flower)や歯ブラシの花(Toothbrush Flower)と呼ばれていて、大きく分けると咲き方(花序)は以下の3種類の分け方ができます。
メモ
- スパイダーフラワー
- 歯ブラシ
- 円柱状
それでは一つずつ解説していきます。
スパイダーフラワー
スパイダーフラワー = 蜘蛛のような花 と呼ばれる通りに、花びら(総苞)が開いたり小さい花が密集した様が「枝先に蜘蛛がいる」ように見えるタイプのグレビレアです。
先に画像を掲載しましたプーリンダ・イルミナもスパイダーフラワーと呼ばれるタイプのグレビレアです。
花も葉も小さいモノが多く、株もそれほど大きくならず、生育速度も比較的にゆっくりなモノが多い印象があります。
ロビンゴードンと並び知名度の高い「ピグミーダンサー」や「ジョン・エヴァンス」、原種の「ラニゲラ」などがこのタイプの花が咲きます。
メモ
- ピグミーダンサー
- ジョン・エヴァンス
- ラニゲラ
歯ブラシ
花序の上側だけに花が咲くタイプです。
下記に挙げてありますがロビン・ゴードンなどとは違って、「丸くならない」といった感じでしょうか。
上側だけ咲くので開花した様子から「歯ブラシ」と呼ばれる所以ですね。
これらのタイプは花も花序、葉、株の大きさの大小に関係なく様々な種類があります。
花色も赤色、朱色、黄色と様々です。
メモ
- ゴールデンレイヤー
- スカーレット・キング
- ブロンズ・ランブラー(ランバー)
円柱状
ロビン・ゴードンなどがこのタイプの開花をし、人気のある品種はだいたいこの咲き方をします。
円柱状と勝手に呼んでいますが、円柱状の花序の全ての面につぼみができ開花します。
バンクシアの花が横になったような見た目、というと伝わりやすいでしょうか。
円柱状の花序のグレビレアの1つ1つの花は大きく、1つの花がスパイダー系グレビレアの花よりも大きい種類が多いです。
メモ
- バンクシー
- ロビン・ゴードン
- ピンク・サプライズ
葉も変わっている
花もですがグレビレアは葉の形も色もさまざまで面白いポイントです。
いくつか特徴的な種類や品種を挙げていきます。
グレビレア・バイレヤナ
通称でゴールドと呼ばれている原種ですね。
ラテン語読みではバイレヤナですが、英語読みなのかなベイリヤナと呼ばれることもよくあります。
ドライフラワーや切り枝として流通している種類です。
分布はパプアニューギニアやオーストラリア北部です。赤道に近い地域なせいか、寒さに強くなく耐寒性は0℃ほど。霜や雪にも要注意。
それと長雨にも注意。
水を浴びる期間が長いと成長点が痛むことがあります。
グレビレア・ウィリシィー(ロック・グレビレア)
柊のような形の葉が特徴的なグレビレアです。
分布はオーストラリアの南部に分布しています。
亜種がいくつかあり、画像のように白っぽいグレー葉のモノや葉が細かいモノがあるようです。
そこそこ耐寒性に優れ、高温多湿にも耐えるため育てやすいグレビレアです。
グレビレア 'ブロンズ・ランブラー'
枝先と幹が赤黒く葉はエリンジウム・ベヌスツムのような裂け方をしているグレビレアです。
トゲのように葉は裂けていますが、触れても柔らかいのでエリンジウム・ベヌスツムのような痛みは感じません。
「ブロンズ・ランバー」という名称で流通していることもあります。
耐寒性もそこそこあり(-8℃程度)、高温多湿の環境にも強いため地植えでも育てられるグレビレアです。
東山動植物園では上の画像のように見応えのある株になっています。
樹高はせいぜい50cmほどですが、1株でけっこう横に広がります。
余裕がある場所に植えると映えるかなと思います。
その他
その他ローズマリーの葉のようなグレビレア(グレビレア・ロスマリニフォリア)やグレビレア・アルピナのようにアスパラガスの葉っぽい見た目の種類など、
種まきから現れる個体差はもちろんあり、葉だけを見比べるとどれがグレビレアか判別しずらいモノがたくさんあります。
育て方
ここからは水やりや気になる耐寒性など、一般的な育て方で注意したい点を挙げました。
耐暑性
全部が全部ではないですが、どちらかと言うとグレビレアは
ココがポイント
暑い気候の方が調子が良いモノが多いです。
オーストラリアで一番標高の高い山(2000mちょっと)にもグレビレアは何種類か分布していますが、
これら以外はどちらかと言うと寒さは苦手とし、高温期に調子を上げるモノが多いです。
そして高湿度にも耐えられる種類が多いです。蒸し暑い名古屋でも問題なく夏越しするモノが多いです。
ただし根腐れはしやすいので、水やりや植える土には気を付けてください(下記参照)。
耐寒性
耐寒性ですが種類や品種によりけっこう差があります。
スイスのチューリッヒで露地植えで越冬している原種や−10℃まで耐える品種もありつつも、ベイリヤナのように0℃以下になると瀕死もしくはそのまま枯死するモノも多いです。
グレビレアは日本国内でそれなりの種類が流通していて、それぞれの耐寒性がわかれば良いですがこのサイトでも紹介しきれてなく(すみません)、
かといって他のサイトや本でも詳しく把握するのが難しいので寒さに強いかどうかの見分け方として、
参考
ローズマリーのような葉でスパイダーフラワー系のグレビレア・ロスマリニフォリアの交配種はグレビレアの中では耐寒性が比較的に優れているモノが多い、と思ってください(寒さに弱いのもありますが)。
ロスマリニフォリアの耐寒性はだいたい-9℃あります。
それでもたとえ冬の寒さに強い種類や品種でも、雪や強い霜、寒風に冬中ずっと晒され続けるとつぼみや葉、幹が黒くなり、黒くなったつぼみや葉や枝が幹から落ち傷む場合があります。
暖かくなると新しい芽が現れ育っていきますが、開花が遅れ花を見る期間が短くなることがあります。
そのため鉢植え株の場合は霜や雪、寒風の影響を受けない場所に暖かくなるまで移動させ、庭植え株には霜注意報や寒波がやってくるという天気予報が出た際には株全体を寒冷紗などで覆うなどの防寒をすると良いです。
レモンなどの栽培している人が冬の夜間は寒冷紗をかけたり、幹を藁で巻くなどする行為のようなニュアンスですね。
もちろん同じ品種で10号鉢サイズの経年株と5号鉢で高さはそれなりにあるもののヒョロッヒョロで見るからに弱そうな株とでは10号の経年株の方が性質的に強いので、
同じ気温下でも10号株は生き残りヒョロッヒョロの株は越冬できない場合は多々ありますのでご注意ください。
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水やり
グレビレアは全般的に水を欲しがる種類が多いです。
特に最高樹形が3m以上に育つ種類や高温期に一気に生育する種類です(G.エンドリチェリアナなど)。
特に最高気温が30℃以上になる時期は、株の大きさにもよるものの、午前中に水やりをしても夕方には水切れを起こし萎びている状態になることが多々あります。
葉が萎れる程度の水切れ状態でしたら十分に復活しますが、ひどく水切れさせると葉が落ちそのまま枯れることがあります。
ココに注意
鉢植えでの管理の場合は真夏は1日に2回は水やりが確実に必要になると思ってください。
特に最高気温が30℃を超える時期です。
とは言え、保水力のある土に植えるとグレビレアは根腐れしやすいのも事実です。
植える土に関しては下記に記しました。→ グレビレアの土について
地植えされる際には畝のように植える位置の土を盛り上げて植えるのも一つの方法です。
植える土について
グレビレアを植える土について、まず覚えておきたいことがあります。
それは特有の根(プロテオイド根)という「リン酸を協力に吸収する」という他の植物にはない特異な性質があります。
そのため一般的な培養土に植えるとリン酸を吸いすぎ肥料過多になってしまい、新しく展開した葉が黄色くなり育たず落ちるなどの生育不良を起こすことがあります。肥料過多でそのまま枯れることがあります。
そのためグレビレアを植える際に使う土として「肥料分の少ないやせている土」を使うことと、上の項目で書きましたが「根腐れしないよう保水力のある土を使わないこと」の2つの念頭に入れてください。
英国のオージープランツ愛好者はグレビレアを植える際に使用している土の配合は、
5割ピートモス・5割パーライト
と言っていました。しかも10号鉢に植え替えて2年は植え替えないとも。
この配合だともはや土かどうかも疑いたくなる「土」に植えてもしっかり開花していたので、手をかけないのが一番なのかなとも思います。
もう一点、あまり意識しなくても良いですがグレビレアはどちらかと言うと酸性土壌を好みます。
なので英国の愛好家がピートモスに植えるのも理にかなっている側面はあります。
ポイント
- 一般的な培養土に植えず赤玉土など肥料分の少ない「やせた土」に植える
- 根腐れしないように水はけをよくすること
肥料について
2023年10月2日に肥料や堆肥のメーカーの花ごころより 「オージープランツ用の肥料」が販売されました。
専用のモノが販売されたのでプロテオイド根を持つ植物への追肥や植え替えで悩まれる方はこちらを使用されるのもアリかなと思います。
気になる方はこちらへ →花ごころ オージープランツの肥料
剪定
グレビレアの剪定ですが基本はアカシアなどと同じ様に花後と呼ばれる「開花時期が終わった直後」が最適です。
グレビレアの開花時期は種類や品種により違うので、それぞれの開花時期に合わせて剪定してください。
剪定方法としては、込み入った枝を切る「すかし剪定」と呼ばれる方法が良いですが、めんどくさかったら画像のように株の半分ほどの位置の高さで切り落としても良いです。
グレビレアは樹勢が強い種類も多いので、半分ほどに切っても数か月ほどで樹高的に切る前と同じ高さになるモノが多いです。
またすかし剪定する理由も樹勢が強いモノが多いため、枝が蔓延ることもしょっちゅうです。枝を透かすことで花付きがよくなることもあります。
その他で気をつけたいこと
その他で注意することとしては、グレビレアは柔らかいモノが多く風が原因で痛むことがよくあります。
風が原因の痛みとして、
注意ポイント
- 強風で枝が折れる
- 冬の冷たい風に晒され痛む
という2つです。
1についてはオーストラリア原産の常緑樹あるあるですね。幹や枝が柔らかいので台風などの強風でけっこう簡単に折れます。
鉢植えの場合は枝ではなく幹からボキっと折れることがあります。
強風注意報や暴風警報が出るような天候の際は鉢植えでしたら避難させるか、地植えの場合はヒモで縛るなどをすると良いかと思います。
2については気温はそれほど低くはないものの、風が吹くことで体感的な温度が下がるので注意しましょうということです。
冬の冷たい風が株の片側だけあたり続け、風があたり続けた側だけ葉がすべて落ち幹が黒くなることもあります。
耐寒性の項目で書きました「寒冷紗で株を覆う」というのは風避けにもなります。
プロテオイド根
グレビレアはバンクシアやプロテア、リューカデンドロンなどが属しているヤマモガシ科で、
それらには特有のプロテオイド根と呼ばれる土中のリン酸を集中して吸い上げる特殊な根があります。
根毛が密集し一つの塊のように見えるためクラスター根とも呼ばれます。
リン酸を吸い上げることに特化した性質を持つ根、というモノです。
バンクシアの根と見比べてもほぼほぼ同じです。
-
バンクシアの間違いない育て方。高温多湿と寒さに優れている4品種を。
続きを見る
最後に
数は少ないですがこのサイト内でまとめてあるグレビレアと、参考にした本です(Kindle版ですが)。
合わせてどうぞ
ではでは~