どもど も~(^^)
ヘレニウム オータムナーレ(Helenium autumnale)は、秋を彩る北アメリカ原産の多年草で、鮮やかな花色が特徴的です。
一般的には「ヘレニウム」や「ダンゴギク」の名前でも知られています。
この植物は、原種は黄色、園芸種にはオレンジ、赤、絞りなどといった暖色系の花を咲かせ、咲き方も花びらが内側に閉じ筒状になるモノがあります。
開花期は夏から秋にかけてで、花の少ない8月でもバンバン咲くため彩の少ない時期に威力を発揮してくれる希少な多年草です。
性質は超絶剛健で日本の暑さや寒さにも適応しているため、個人的にはネペタの次くらいに位置している「最強クラス」の育てやすさ、と思っています。
枯れる条件が少ないため「これを枯らしたらガーデニングに向いていない」と断言している植物でもあります。
こぼれ種や地下茎で勝手にあっちこっちで増えることもないので育てる手間もあまりかかりません。
ここではヘレニウム・オータムナーレの育て方や品種の紹介などを説明します。
画像とデータ
- 学名:Helenium autumnale
- 別名:ダンゴギク
- 分類:キク科
- 原産:北米
- 形態:耐寒性多年草
- 耐寒性:USDA 3(-34℃前後)
- 花期:初夏
原産地は北アメリカ(主にアメリカ)で、湿地帯や川岸などに自生しています。
和名のダンゴギク(団子菊)ですが、花の中心部分が盛り上がったドーム状をしており、その丸い形が団子を連想させるため、この愛称がついたと言われています。
英名についてはスニーズウィード(Sneeze Weed)やコモン スニーズウィード(Common Sneeze Weed)と呼ばれています。
この植物の乾燥した葉や花は、かつて粉末状にして嗅ぎタバコ(スナッフ)として使用され、意図的にくしゃみを引き起こすために用いられていました。この習慣は、体内の悪霊や病気を追い出す目的で行われていたとされています。
ホワイトセージなど北米の植物はネイティブ・インディアンの影響からか、このような謂れのある植物が多い印象があります。
草丈は120mほどで、株張りは90cmほどで。
庭の背景に植えても草丈がそこそこの高さの1mを超えるので存在感を発揮します。
スポンサーリンク
ヘレニウム・オータムナーレの育て方
最強クラスの育てやすさの理由
個人的に、
- 日当たりがよい場所で(1日/6時間以上)
- 適度に水やり
をしてれば勝手に育ち、暑さや寒さの心配は一切しなくてよい「最強クラス」のモノの一つとして捉えています。
ただ一言「最強」と言っても括り方はいろいろあるかと思いますが、植えて活着した状態で
ポイント
- 水やりは自然雨程度でも枯死しにくい
- 肥料は不定期でOK(年1回気が向いたら程度)
- 切り戻しても咲く(これにより低い位置で咲かせられる)
- 昨今の一カ月強続く酷暑を乗り越える
- 耐寒性について心配しなくて良い(北海道などの寒冷地も余裕)
- 2週間近く曇りや雨の日が続き湿度が80%前後が続いても蒸れて腐りにくい
- 土質をあまり選ばない
- もちろん年中屋外での管理
- 花期が初夏から晩秋と鑑賞期間が長い
これらの条件をクリアするモノというと、前述しましたが個人的にはネペタ、コレオプシス、ヘリアンサス、ぐらいしかないんじゃないかなと。
こういったことで「最強」と位置付けています。
それでは強さについて解説を。
水切れに強く乾燥にもそこそこ強い
原産地では「湿地帯や川沿いなどの湿り気の多い場所を好んで自生している」とアメリカの植物園のサイトには書いてあります。
湿地帯や川沿いという単語があると「ん?水が好き?水切れしたらマズイ?」と連想されると思います。
が、はっきり言ってヘレニウム・オータムナーレが水切れに弱い、ということはありません。
頭が下がるくらい水切れすると蕾が茶色くなり花が見られなくなる場合は他の植物は割と多いですが、ヘレニウム・オータムナーレについてはその影響はこの程度の葉の萎れでは現れません。
もちろん相当に水切れし萎れが上の画像以上になった場合は、そりゃもう葉は焼けつぼみは落ちますがそれでも株が「水切れ枯れ」することがほとんどないです。
根さえ生きていれば、見た目が完全にヤバイ状態からでもたっぷり水やりすれば地下茎から新しく芽が出てくることもあります。
耐寒性が抜群に優れている
日本の気候でしたらほぼ大部分で寒さについて心配することがありません。
寒さが原因で枯れることはほぼないと言って良いでしょう。
北海道のガーデンで植栽されていますし、簡単に検索しても五大湖のミシガン湖とスペリオル湖に接しているウィスコンシン州にも自生しています。
アメリカへはまだ渡航したことがなく、インターネット上の情報でしか知りませんがウィスコンシン州は一般的に、冬季には-20℃から-30℃程度まで下がることがあるようです。
こういった情報だけでも寒さで枯れる心配はしなくても良いですが、
寒冷地でなくとも冬越しのために根元にマルチングを施し、霜や凍結から守るとさらに良い状態で翌シーズンを迎えられるのは間違いないです。
耐暑性どころか高温多湿の環境も問題ない
ヘレニウム・オータムナーレは、北アメリカ原産の植物でありながら、日本のような高温多湿の夏にも適応してます。
この植物の生育にとって、湿度はむしろ有利に育つ条件の一つです。
上記にも書きましたが原産地では湿地帯や川沿いなど、年間を通じて土壌が湿っている環境で育つため、乾燥よりも適度な湿気を好みます。
さらに、35℃を何日も続く暑さにも強い性質を持ちます。そんな中でもバンバン花が上がります。
ただし、高温多湿の環境では風通しが悪くなると害虫(特にコナカイガラムシ類)のリスクが高まるので注意してください。
当圃場ではコナカイガラムシがホント頻繁に付いています。
こちらも重複しますが水切れにも強いものの、夏の間の水やりを怠らないことが葉焼け等を防ぎ健全な成長につながります。
太くなる茎
これと言って何もしなくても植えて半年以上経過した苗でしたら勝手にこれくらい茎が太くなります。
ぱっと見だと木なのか草なのか見分けができないくらいしっかりした茎です。
切り戻しについて
開花期間内、ざっくりで7月~11月内に切り戻すと脇芽が伸びそこにつぼみができ開花します。
ヘレニウム・オータムナーレに限らず切り戻しは長く花を楽しむための作業です。
また、咲き終わった花をこまめに摘むと、新しい花が次々と咲く助けになります。切り戻すときは、茎を半分あたりの高さで切ると高さの調節ができます。
この植物は1m以上になるため、そこまで大きくしたくない場合は開花する少し前に切っておくと良いでしょう。
また元々切り花としての商用目的で日本にやってきている背景があるからか、ヘレニウム・オータムナーレはスプレー咲きのように茎の先端に小さい花茎がいくつかでき開花します。
切り戻すと脇芽も同じような状態に育っていくので、1株でもかなり多くの花が見られるのではと思います。
枯れる原因
混植や密植えに向いていない
生育速度は決して遅くないのですが、どうも他の植物と比べると「競争力」が弱いです。
特に、イネ科やカヤツリグサ科などのグラス類と一緒に植えたり株が育ってくると競合しそうなほど近い場合や、
しっかり根を張り巡らせ幅を効かせているシンボルツリーのような樹木が付近に5mほどにある植栽環境だと成長が阻害されるのか、早いと植えて3年目には完全に姿が無くなります。
上の画像は @ bluemoon_cottage さん のお庭の一部ですが、赤い点線で囲んだヘレナ・レッドシェイズの付近には、
メモ
- シュウメイギク
- パニカム 'ブルージャイアント'
- カンナ
- オオシマカンスゲ
- サルスベリ
といった荒地に放り出されても生き残るであろう「歴戦の猛者」のようなモノばかりが陣取っており、
そんな中でもこの年と前年は赤い点線のヘレナ・レッドシェイズは頑張っていましたが、この翌年には姿を確認できませんでした。
Bluemoon Cottage さんのお庭の株以外の地域も違う2ヶ所のお庭の株が強いライバルが近くにいるために生育が前年よりも良くないのを確認しているので、
園芸品種を含めてヘレニウム・オータムナーレは競争力があまり無いなと、確信しました。
性質が剛健なのは知っていても、混植や密植に対しての競争力の無さはあまり知られていないのでこれから植えられる人は植えてから1年後や2年後の状況を想像し、
無難な場所を選んで植栽されると良いと思います。
注意
・常緑樹、落葉樹含めて何年も庭に鎮座しているような木が近くにある場合は避けた方が無難
・生育が早く、グラス類など競争力が強いと思われる植物の近くに植えない
園芸品種を含めた他の種類のオータムナーレ
オータムナーレの特徴
属が同じでも花の見た目が違い同定が簡単な植物が割と多いですが、ヘレニウム属は数種を除いてホントに花だけ見ると同定が難しいモノが多いです。
その中で草丈が1m以上位なるヘレニウムは種類が多くないので草丈は「何か」を判断する材料となります。草丈が高い種類はオータムナーレ種以外で日本国内で見られる種類というとオータムロリポップしかないのではないかと思います。
草丈でオータムナーレ種と断定できやすいですが、切り戻しして低めの位置で咲かせたり生育環境によっては80cmほどにしかならない場合があり見分けができない場合があります。
そして、全部で5種類?かな育てたことがありますが、同じことを書きますがヘレニウムは総じて花の感じが似ています。なので見分けるのがたいへんな場合があります。
さらにオータムナーレ種も含めヘレニウムってたいてい黄花なんですよね。
ということになりますが、葉の形状で見分けることができます。
ヘレニウム・オータムナーレは葉の形が披針形(ひしんけい)と呼ばれる葉の先の方が少し膨らんでいる形状をしています。
他の種類のヘレニウムを葉の形と見比べるとすぐにわかります。
園芸品種も葉の形状は同じなので見分けやすいです。
メモ
- 葉は 被針形(先の方が尖っている)と呼ばれる形です。
- 葉の縁には 鋸歯(ぎょし) がほとんどなく滑らかな縁を持つものが一般的ですが、少しギザギザしている場合もあります。
- 画像の葉色は薄いですが本来はかなり濃い緑色をしています。成熟した株の葉には軽い毛があることもあります。
- 葉は互生(茎に対して交互に配置される)です。
オータムナーレの品種は増えてます
原種は黄色の1色のみですが、あまり見る機会が多くなかった園芸種は2010年代から徐々に増えきています。
元々が黄色のみだからか、オレンジや薄い黄色、赤などの暖色系というのか似た感じの色合いのモノがほとんどですが、
わい性種のショートトンサッシーや開花した後に徐々に花びらが内側に閉じていくベティなどといった品種が登場しました。
これら園芸種は気温により色の濃淡がはっきりと変わります。
ざっくり言うと春や秋の低温期は花色が濃く、高温期は花色が薄くなりがちです。
モーハイムビューティーは年がら年中花色が変わっている印象がありますが、園芸種は開花時期によりはっきりとした花色の濃淡があるのが見ていて面白いポイントかなと思います。
下記はこのブログ内にあるヘレニウム・オータムナーレの園芸種についてまとめた記事です。
続けてご覧になってください。
参考
というわけで今日は ヘレニウム・オータムナーレ でした~
ではでは~(^^)v