どもども~
ガーデニングを始めたばかりの人は必ず育てた経験があるであろうスイート・アリッサム(Sweet Alyssum)についての完璧な育て方についてです。
白い花の種類が一般的ですが、近ごろは赤や紫、薄紫、ピンクっぽい色など様々な種類の花色のモノや、斑入りと言う葉に黄色などの模様が入るモノもあります。
強い霜が降りない地域では11月の秋ごろに植えた苗は7月の初夏ごろまで咲くこともあり、開花期間が長いということで重宝します。
また一年草の扱いとされていますが冬越しと夏越しさせると3~4年は育つという多年草です。
また関東以北や寒冷地と呼ばれる地域ではこぼれ種で自然に増えることなど、あまり知られていないことについてもまとめました。
※文字数がやや多い内容になっています。
知りたい項目だけ知りたい人は下記の見出し【見てみる】を開き、気になる項目を触るとそこに飛べます。
アリッサムとは
ロブラリア属
- 学名:Lobularia maritima
- 別名:ニワナズナ、スイートアリッサム
- 分類:アブラナ科
- 原産:地中海沿岸
- 形態:耐寒性多年草
- 花期:春
現在スイート・アリッサムとして流通しているモノは、学名でロブラリア・マリティマ(Lobularia maritima)と呼ばれるアブラナ科の短命の多年草です。
アリッサムという名称ですが、つい最近までロブラリア・マリティマはアリッサム・マリティマム(Alyssum maritimum)という学名であり、すでに世界中でアリッサムという名称が使用されていたため、
ロブラリア~という名称に変更したのもそれほど知られてなく、市民権も知名度も世界中で「アリッサム」で定着してしまっているので流通上は呼び名を変更せずにいるのだと推測しています(特にスイート・アリッサムという名称)。
それと植物をDNAを用いて分類している植物分類表の160pに
ロブラリア・マリティマ(アリッサム・マリティマム)
と書かれていますので、共に併用して使える名称です。
というわけで、本記事内ではロブラリアという名称を使用せずにアリッサムで統一しています。
原産は地中海沿岸とざっくりですが、モロッコやリベリアなど北アフリカ沿岸部、フランスやスペイン、ポルトガル沿岸、カナリア諸島と広く、こぼれ種での自然増殖が範囲を広げたのでは?と言われる人もいます。
自然増殖が広地域で可能だったせいか、アメリカのいくつかの州では侵略的外来種として指定されています。
草丈は20cm、株張りはだいたい30cmを目安にしてください。
ドーム状にフワッと広がっていきます。
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種類
国内で流通しているアリッサムと一言でまとめても、実は意外に種類があります。
メモ
- アフロダイテ
- イースターボンネット
- クリアクリスタル
- スノークリスタル
- ノースフェイス
馴染み深いのはスノークリスタルとイースターボンネットではないでしょうか。
もちろん地域差はあるでしょうが、100円前後で販売されているアリッサムの品種はイースターボンネットのような印象があります。
また昨今では真夏でもバンバン咲き3.5号の1ポットが株張りが60cm以上ほどになるスーパーアリッサムと呼ばれる系統の栄養繁殖系のアリッサムもあります。
こちらも
- スノープリンセス
- フロスティナイト
- ストリーム
- パープルナイト
- ハッピーポンポン
といった品種があります。
これらの交配種についてはこの記事内で書いた育て方などがそのまま適応できますが、
この記事内では基本的に種まき(実生繁殖)で簡単に育つアリッサム向けの内容になります。
マメ情報
栄養繁殖は根や茎など「栄養を生成する部分を用いて増殖する方法」です。
何か特別な栄養を与えて育ったモノではありません。
花色
アリッサムの花色はいくつかあります。
ざっくりで
- 白
- クリーム色
- 薄い紫
- 濃い紫
- 薄い赤
- 濃い赤
っとこれくらいあります。
黄色の花が咲くアリッサムがありますが別種の可能性が高いです。
黄花はたいてい、アリッサム・モンタヌム(A.montanum)かアリッサム・サクサティレ(A.saxatile)です。これらは花と葉が大きく葉の形が違います。
花の大きさの違い
ホームセンターや園芸店などで販売されているアリッサムの中でも花が小さいモノや大きいモノがあり、なんで?っと不思議に思われた人も少なくはないと思います。
そして花が大きい苗が花が小さい苗と同じ金額でラッキー!っと思われた人も少なくないでしょう。
これにはちゃんとした理由があります。
なぜなら最近のアリッサムは4倍体のモノが多いです。
知っておこう
- 4倍体の植物は基本的に「大きい」という性質があります。
遺伝子的な話です。この辺りの学問的な話は苦手なので説明できませんが、現在流通している野菜のほとんどは4倍体と言われています。
ちなみに3倍体の植物は種ができません。
わかりやすい解説はこちら。
加えて栽培時に大きくさせないホルモン剤のような役割のわい化剤を使用し、成長を抑え株を大きくならないようにし株を小さい状態で開花させている、という状態で出荷されている状態の苗もアリッサムは多いです。
わい化剤が使用されたモノは薬剤の効果が無くなると、その品種の通常の大きさや生育スピードになります。
育て方
スイート・アリッサムとして馴染み深く親しみのあるアリッサムですが、その理由は「楽」だからでしょう。
多くの地域で「半日陰から日向のどこかにとりあえず穴を掘って植えておけば育つ」からだと思います。
そのような性質なので深堀りする必要はないですが、寒さや暑さについてなどじっくり解説します。
耐寒性
個人的な体感的に-3℃程度の霜に当たると溶けて枯れる印象があります。
北海道など気温が低くなる地域の流通はわかりませんが、関東以西の暖地では早いと8月下旬あたりから市場に出荷されます(状態が良いかどうかはともかく)。
それ以後過ごしやすい気温の秋からだいたい年末前あたりまで出荷があります。
-3℃程度の霜に弱いなっという印象がある理由ですが、年末ごろにたまにやってくる強い寒気が原因で「一晩でドロドロに溶けた」という経験をした人は少なくはないでしょう。
そういった頃の気温の変化(ヒートショック)ですが、最低気温が5℃ほどまでだったのが寒気が来たことでいきなり-3℃に下がったような時です。
温度差が氷点下をまたいで一晩で8℃あると耐寒性に優れている植物でも葉焼けを起こすことがあります。
ドロドロに溶けるのは極端な例ですが、アリッサムに限らず暖地で秋ごろから販売されるストック、ネメシアやデージーなども葉が霜焼けしたりし枯れることがよくあります。
霜焼けした例がアリッサムではなくネメシアで申し訳ないですが、
霜焼けした日の後に気温が下がらず暖冬と呼べる日が続かないとほとんどの場合は新しい芽や葉が出てこずこのまま枯れます。
寒さに弱い?!
しかしながら、温暖な地域の冬よりも「冷える」地域ではアリッサムは冬越ししているという事実があります。
具体的な場所は伏せますが、実際に長野道塩尻北ICを降り国道19号を松本市内に向かっていく道中に同じ場所でずっと咲いてる「野良アリッサム」が見られます(真冬以外)。
早春と言いながらもまだまだ凍える松本市の同じ場所で3月に満開になっている「野良アリッサム」も見てます。
参考まで 標高は塩尻市が713m、松本市が592mです。
さらに聞いた話ですが、北海道の旭川市では宿根しているようです。こぼれ種で増えているとも言われていました。
元々の原産が地中海なので寒さに弱いという説はまったく当てはまりません。
では暖地よりも気温が低い地域で宿根し多年草化している理由はなんなんでしょうか?
冬越し方法
アリッサムの屋外での越冬方法ですが、考えうる条件として
夏越しさせる
ことが絶対かなと思います。
アリッサムに限りませんが「常緑」と言われる多くの植物は低温や霜、雪にさらされ地上部分が枯れたり溶けて無くなっても、根さえ生きていれば暖かくなると芽が現れます。
本来アリッサムは冬季に地上部分をなくし越冬するタイプの植物ではないですが、余裕で氷点下が-10℃以下になる地域でも特別な措置を施さず越冬しているため根さえ生きていれば「宿根」するということがわかります。
そのため本格的な寒さが到来するまでに根がしっかり育っていることが屋外で越冬できる重要な条件の1つになります。
理想としては4~5月ごろに植え夏越しをさせると、寒さが厳しい地域での越冬もそれほど難しくないのでは?と思います。
仮にもし越冬できなくても、アリッサムが活動的な気温の時期に植えることで種ができる期間が長く、多くの種が長くたくさんできることでこぼれ種での自然増殖がかなり期待できるという利点もあります。
耐暑性
「冬越しさせたい場合に必要な夏越し」と書いてきましたが、高温多湿の環境をアリッサムが嫌うのは周知の事実です。
高温の時期は特に花の数も少なくなり、というかほとんど咲くことがなく生育が緩慢になります。
高温多湿の環境下と言ってもざっくりですが、夏の間(7~9月)に30日ほど気温30℃・湿度70%を超えるのが当たり前の地域です。
加えてこれらの時期の夜温が25℃を頻繁に超える地域での夏越しはけっこう難しいでしょう。
ココに注意
これらの地域は体感的にエアコンがないと寝苦しい、もしくは寝られない地域です。
夏が暖地に比べ暑くない場所、先述してますが長野県の松本市では真夏の8月でも道端で開花している株が見られます。
それでも条件付きですが花壇植えや鉢植えでアリッサムを夏越しさせられる方法はあります。
ポイント
- 春に植える
- 水はけを良く
- レンガや石など土中の水分を吸い上げやすい躯体の傍に植える
この3点です。
春に植えるのは越冬させるのと同じ理由です。根を張らせ株を作る、ということですね。
暖地では強い霜や雪にやられる心配が少ない2月末から3月ごろに植えて良いです。
水はけと乾きやすい躯体の傍に植えることは似ていますが、要するに根腐れ防止ですね。
Bluemoon Cottageさんの植えてから数年は経過しているであろう株は水を吸い上げやすく、乾きやすいレンガに面しています。
学名のmaritimaはラテン語で「海岸の」という意味なため、元々は水はけの良い砂地(海岸部)に自生しています。
高温はともかく保水力のある土が苦手なのは学名からも読み取ることができますね。
加えて根も呼吸するために根が窒息しないようにするとなると、吸水する躯体のそばに配置することで乾きやすい状態を作ることができます。
切り戻し
スイートアリッサムの切り戻しですが、基本は深く切りすぎないこと、です。
切り戻しを行い5℃以下にならない保温ができる場所にて管理すると、だいたい一カ月あたりで「そこそこ見られる株」になります。
化成肥料などを少しでも置いておくともっと良いワサッとした株になっていたのではないかと思います。
切り戻してからずっと当温室で管理してるので屋外ですとここまで新しい葉が出てきたり花が咲いたりしないと思いますが、
だいたいの目安として考えてもらえればっと思います。
「切り戻しは半分ほどの位置で」という理由として、このような木質化した株は深く切り込むと芽吹きせず枯れる可能性がありますので注意してください。
クレマチスなども硬くなった場所からは芽が吹きにくく、バッサリと株元付近から切ってしますとそのまま枯れる場合があります。
植物によっては古い個所から芽が吹きにくい、と覚えておくと良いでしょう。
どこまで切ってよいかわからず怖い方は、咲き終わった花の部分を切れば良いです。
この部分からは新しい花は咲きませんし、茎が新しく伸びるわけでもなくただ朽ちていくだけの箇所です。
冬の間はアリッサムは基本的にほとんど花が咲かないことが多く、この時期に咲き終わったこれら先端部分を切っておくと気温が上がり生育が旺盛になる頃には再び花が沢山咲きます。
またある程度育った株になるといくつかひ弱で自立できずヒョロッとした地面に這う茎が現れますので、そういった茎は問答無用に取り除いて構いません。
植える時期
植える時期についてですが、重複しますが暖地では8月下旬に出荷があり店頭で販売される場合がありますが、どんなに早くても植えるのは10月に入ってからが良いでしょう。
あまりにも時期が早いとアリッサムが育つには気温と湿度が高すぎてせっかくの苗が枯れる場合が多々あります。
枯れはせずとも蒸れて葉が黄色くなりやすいです。
理想としては10~11月、2~4月が良いかなと思います。
東北や北海道などの地域の流通はいつ頃から始まるか詳しい事はわかりませんが、雪の心配をしなくて良い時期が良いかと。
だいたい4月ごろからが良いのかなと思います。
植える場合の土のphですが、酸性だろうとアルカリ性だろうと特に気にする必要はありません。市販の培養土で良いです。
基本的に水はけさえ良ければ育ちます。
秋に咲かせたい
苗を買う以外で10月下旬辺りから太平洋側の暖地にて秋花壇をビオラやパンジー以外で賑わせる方法です。
栽培者目線になります。
10月下旬辺りにしっかりした株を作ろうとする場合は、
暖地で35℃近い最高気温の残暑がしっかり続くことが多い8月下旬に大量に種を播く必要があります。
この時期に播くアリッサムの種の発芽率は悪く、さらに発芽しても上手に育たず枯れするモノが多いです。
ですが何割かは必ず生き残ります。その生き残りは10月に入るころに開花します。
こうすることでビオラやパンジー以外で秋花壇を賑わせることができます。
種を播く場合はできれば地面に直接播く「直播」ではなく、ポットや育苗用のプラグトレイに種まき用の土を入れて播くなどした方が発芽率が良いです。
それではスイートアリッサムについてでした~
ではでは~