(元)バックパッカーな園芸家・伊藤章太郎が植物のことを中心に綴ってます。

ショウタロウブログ

フリー素材で見つけましたw

ユッカ ロストラータ の育て方や耐寒性など気になる事を。国内のほとんどの地域で地植え可能です。

2016年6月3日

どもども~(^^)v

今日は長きに絶大な人気のあるユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の育て方についてです。

一般的な育て方や心配な雪や霜などの耐寒性、どんな土を好むか、害虫などについてです。

直射日光に4~6時間くらい当たり、水はけの良い場所でしたら暖地と呼ばれる関東以西の平地でしたら地植えはほとんどの地域で可能です。

画像とデータ

壮観な景色ですね。

  • 学名:Yucca rostrata
  • 別名:ビッグベンド・ユッカ
  • 分類:リュウゼツラン
  • 原産:アメリカ南部~メキシコ北部
  • 形態:耐寒性常緑低木
  • 耐寒性:USDA 7a(-18℃前後)
  • 花期:春

このブログはガーデニング素材としてよく使われる植物、宿根草と呼ばれる植物を主に取り上げていますが、このロストラータを植栽したり鉢植えにして飾ったりする人や需要が以前と比べて増えてきた印象があります。

インターネットの功績か、植物全般にそれほど詳しくない方が「見た目がカッコイイ」という理由で買ってみたという話をよく耳にします。

ドライガーデンの需要も増えてきたからでしょうか。

植物をまったく知らない人でも虜されたという話を聞くと、園芸を生業にしている身からすると嬉しい限りです。

 

ちなみに別名ですがビックベンド・ユッカのビッグベンドとはメキシコ国境とテキサス南部にまたがる山と峡谷と砂漠など野生生物を特徴としている国立公園を指します。

高さは最大で3mほどになります。1年で数cmしか伸びないので3mになるには数十年は必要と思ってください。

 

幹が立っていない株が幹が立ち「1mほどの高さの憧れの形」になるのには10年は要します。

 

育て方

耐寒性

ロストラータの花です。フリー素材で見つけましたw

別名が大きく突き出したユッカ、という文字だけで形状を理解できてしまう見事な名称ですね。ユッカを多肉植物と呼ぶにはどこかしのびないですが、サボテンなど多肉植物に分類される植物です。

その多肉植物として分類するのに抵抗がある理由として驚く点は優れた耐寒性でしょう。

 

アメリカ農務省(USDA)が定める耐寒ゾーン分けでは-26℃までの寒さに耐えうるというデータもあるようで、日本国内で露地での管理できない場所としてはデータ的には北海道の一部と標高が2000mを越える高冷地のみになります。

それでももいくつかの海外サイトでのロストラータ栽培経験者のブログなどを読んでみると耐寒性はだいたい-18℃前後という意見が多いのでこちらの温度を目安にすると良いと思います。

 

関東以西の平野部でしたらほぼどこでも問題なく露地越冬できると言えるでしょう。比較的潮風にも強いです。

しかしながら実際風の強弱などで体感温度はかなり変わるので、単なる温度だけ参考にすると失敗しそうなので耐寒性はあくまで目安として、と思ってください。

 

 

それよりも冬の間は雪がずっと積もっている地域ではどう管理するのが良いかや植える場所の水はけが悪いなどを気を付けられた方が良いです

 

温度的に問題ないけど雪が数か月に渡り積もる地域は鉢植えにし、雪のある時期は雪に埋もれない場所に移動させるなどを行った方が良いでしょう。

植える場所の水はけが悪く、長期間根が多量の水分にさらされている状態が続くと「根腐れ」ということが起きることがありますのでご注意ください。

ロストラータに限らずユッカは基本的に水はけが良く乾燥しやすい場所や土質を好みます。

 

土についてはこの記事の最後の方に詳しく書きした。➡ ここから飛べます。

ちなみにロストラータの花ですが、画像にあるようにごくごく一般的なユッカの花です。

植栽例

以前造園屋さんのご依頼で耐寒性が高くエキゾチックな造形の植物は何かないか、と聞かれ候補としてキサントロエア’ブラックボーイ’やダシリリオン・ロンギッシマムとこのロストラータの3つがオススメかな、と伝えたら、

この3つの中では一番購入しやすい金額だったロストラータをということになったことがありました。

 

この手の植物は成長はとてもゆっくりでタネから育ててみると3年経過しても幹の部分は現れません。5年目くらいからやや幹っぽいのが形成されます。

そのため国内で販売されている幹があがったロストラータのほぼ100%はメキシコないしはオランダなどからの輸入品になります。

 

以前は輸入されてから農場ないしは温室やハウスに到着後に植え替えて数年ほど養生をした後にしっかり根を回してから市場に出荷というのが普通だったのですが、最近は輸入して鉢に入れグラつかないようにテープやビニール紐で固定して出荷、という形が多いですね。

幹が立った株を輸入し鉢に植えてしっかり発根するまで2年は養生する必要があります。

実際にオランダでロストラータの圃場を見せてもらった時に植えて1年目の株のゾーンと2年目のゾーンを見せてもらいましたが、葉の展開具合が全然違いました。

 

そのため成長が極めてゆっくりな植物をジックリ何年も育ててから出荷する生産者さんはもう国内にはいないんじゃないかと思います。絶対にコストが合わないので。

管理方法

水やりと肥料について

  1. 水やりですが、株の大きさにもよりますが2~3週間、大きめのコップ1、2杯で十分です。露地の場合ですとすすんで水やりを行う必要はありません。雨水だけで充分そだちます。
  2. 肥料については鉢植えも直接地面に植えこんだ株ともに気温が上がってくる春に化成肥料を株の大きさに合った量を置いてください。10号鉢サイズでしたら10粒~15粒あれば十分です。それでも十分すぎるかもです。
  3. 土については腐葉土や牛糞堆肥など植えこむ場所や培養土に4割くらいを混ぜて植えると良いでしょう。

肥料を数カ月与え忘れたからといって、すぐに生育に支障をきたすほど生育旺盛な植物でもないので1年くらい追肥を忘れてもどうってことはありませんのでご心配なく。

これは確証があるわけではないですが、土が酸性ですと葉色がキレイなブルーにならないと耳にしたことがあります。

数年に1回は草木灰や有機石灰を少々株元でもよいので置いておくだけでも良いです。

日光によく当てよう

見た目がカッコイイので常に目の届く室内に置きたくなりがちですが、

日照量が不足しますと(日光不足)葉の色が悪くなり葉に張りがなく下向きにデロ~ンと葉が垂れ、だらしない見た目になることが多々ありますのでご注意ください

 

葉がこのような状態になりましたら、直射日光に当たる場所に移し替えても葉が生え変わらない限り元には戻らないのでお気をつけくださいね。

葉の生え変わりは上に書いたように、約2年を要します。

子株

枯れたロストラータの株元の雑草と子株の様子。

子株が出にくいロストラータですが、正株というのか大きく育った株が枯れるとその株元から小さい子株が現れます。

そのため枯れた株をそのままにしておいても気にならないのでしたら、処分せずにそのまましばらく放置しておくと良いことが起こるかもしれません。

害虫

白アリ?!に食べられた?

ほとんど害虫による被害のない植物ですが、先日納品した方から「捨てるのがもったいないから持って帰って良いよ」とのことで10年ぶりロストラータが戻ってきました。

見た目は古い葉が手入れがされてないだけかと思いましたが、古い葉を切って手入れをしていたところある高さから葉がボロボロと落ちる箇所が。

 

幹を見ると所々小さな穴と小さな卵っぽいモノと木くずみたいな粉が。

姿は確認できませんでしたが、間違いなくシロアリでしょう。

 

ユッカ自体はほとんど害虫は付かない印象でしたが、まさかシロアリによる食害があるとは思いもよりませんでした。

地植えにしている方や大株をお持ちの方は1年に一回は株の様子をしっかり見た方が良いかなと思います。

発芽情報

最後に国内ではあまり見かけない発芽情報を。

・土は水捌けの良いタネまき用の培養土で
・薄く覆土してください
・発芽適温は20℃~25℃
・発芽期間は1カ月~1年

発芽はそろう事がないので根気よく待ってください。

以前配達した際に軽トラに乗せ横にし、2M超えの株だったおかげで荷台から飛び出たロストラータです。  

ではでは~(^^)v

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