どもども~(^^)v
園芸を始めてすぐに疑問に思ってしまった耐寒性という言葉の概念の非統一感。
- 強耐寒性
- 耐寒性:弱
- 寒さについては最強クラスです
- 寒さに弱いので一年草扱いです
など生産者やお店のポップを見てそれぞれがバラバラで不思議で仕方なかったです。同じ種類の植物でも説明書きでかなりの差がありました。
そんな当時の自分に対して「耐寒性とは?」ということがわかるようにまとめてみました。
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耐寒性の定義とは
耐寒性の定義ですがWikipediaによると
日本では、人口の大半が、首都圏・近畿圏および中京圏と、気候がそれに良く似た地域に住んでいるため、東京の冬の寒さを基準にして、
- 露地で十分に越冬できるものを耐寒性、
- 霜よけや暖房のある室内に取り込まないと越冬できないものを半耐寒性、
- 本格的な温室がないと越冬できないものを非耐寒性
と呼んでいる。
ヤフー知恵袋にも同じような回答がありました。
要するに
東京の冬を露地で余裕で越えられる植物が耐寒性に優れている
ということみたいなんですが、
園芸をされている人の大半はこの説明には
東京の暖かい冬を露地で越冬できたら耐寒性アリなんて言われても、なーんか納得いかない・・・
と思われるんでないんでしょうか???
>人口の大半が、首都圏・近畿圏および中京圏
それと耐寒性に関してたしかにこの定義は理解できますが、園芸をする人ってこの地域より少し外れた地域に住んでいる人が多いと思います。
地域による寒さの数値化
僕は園芸を始めて早い段階から、
のようなことをずっと思っていてそれと同時に「わかりやすく数字化してくれないかな~」や「暖地から出荷されたモノで耐寒性がありますって言われてもねぇ・・・説得力ないなぁ」とも思っていました。
非難をするわけではないですが、曖昧な表現で断定しない言い方をする日本文化の良くも悪くもある部分かな、と思います。
愛知県でもこんなに差があります
日本は縦に長く海流と山の影響で極端な話でたったの300km移動すると環境が変わる珍しい国です。世界の地域では1000kmの(平行移動ではなく)南北の移動をしても環境がまったく変わらないところもあります。
また日本は北は亜寒帯、南は亜熱帯と自然の変化に富んだ国です。
それらのおかげで植生がアメリカのような広大な国土を持つ大国ならともかくとても豊かなのです。
それは狭いエリアで環境の違いがあるからなんですが、
たとえば中京圏の中心地の愛知県で僕の住んでいるところですと、
- ここ5年間での一番の最低温度が-9.8℃
- 例年-5℃を下回る日は約10日くらい
- 1月~2月の平均最低温度はたぶん-3℃前後
- 1月~2月はほぼ毎日霜は降ります。溶けるのは早いけどもちろん路面凍結
- 雪もすぐに溶けますが1シーズンで4、5回積もります。10cm程度ですが。
車でたったの15分で行ける名古屋市になると、
- ここ5年間で一番の最低温度が-5℃が1回、
- 例年0℃を下回る日は約10日くらい(0℃を下回る予報だと路面の凍結注意!と頻繁に天気予報で言われる)
- 1月~2月の平均最低温度はたぶん3℃前後。もちろん雪が積もることはほとんどありません。
さらにこれが120km離れた渥美半島の伊良湖岬(メロンとキャベツとキクの産地)の方だと「氷点下になるの?」という気候で、雪が降るけど積もることはまずなく、
かといってウチの温室から車で1時間くらいで長野県との県境に行けますが、そこには白樺が生えてますしスキー場もあります。
冬の時期になると名古屋から一番近いスキー場!のようなフレーズでコマーシャルされていますね。
一言で「愛知県では冬越しした」、といってもこれくらい環境に差があります。
USDA 植物耐寒性地帯地図
北は亜寒帯、南は亜熱帯、山脈が多く、海流も豊かな国土において「耐寒性ありますよ~」や「耐寒性:中」などの情報でその植物の耐寒性を判断するのはなかなか難しいかと思います。
さらに、
- 北海道のお住まいの方からの「耐寒性がある」
- 九州にお住まいの方からの「耐寒性がある」
はまるで違いますよね。人の体感や主観もそれぞれ違います。
その「地域差」や「感覚の差」を数字にし、かなり精巧に上手にグラフにした組織があります。
それが、
このブログ内で僕が各植物に付けている(これはシモツケです)USDAという4文字ですが、これは
アメリカ農務省
という意味です。
アメリカ農務省は自国の土地を寒さでゾーン分けをしてそれを数値化してランキング様式にし、毎年更新しています。毎年更新というのが、これが地味にスゴイ。流石アメリカ様です。
右下に耐寒温度を色分けしたグラフがあります。URLの先で画像を大きくできます。
このようなものですが、
「植物耐寒ゾーン地図」とか「植物耐寒性地帯地図」などと言われています。
ではどうこれを使うか、ですが
図のように植物に割り振られている数字がありますので、
お住まいの地域の数字と植物に割り振られた数字を見比べ、植物の数字よりもお住いの地域が大きかったらその地域では育つ、という一つの「目安」として見るのですが、
え?え?どういう意味?とかアメリカのエリア・マップと日本だと比べようがないのでは?と思われてるかと思います。
日本版の耐寒ゾーンマップあります
2001年にアボック社が販売した日本花名鑑NO.1(Amazon)という本があります。
こちらの中に「日本版・植物耐寒性地帯地図」があります。
下記にある地図ですが、僕はしょっちゅうこれを見て参考にさせてもらってます。
こちらでサイトでどのような地図かを確認できます。→植物耐寒ゾーン地図
植物に割り振られた数字がお住いの地域の数字よりも小さかったら、
耐寒性は問題ないかな、という見方をしてください。
例として上のシモツケでしたら
シモツケの耐寒ゾーンはUSDA基準だと最低の耐寒温度が4番(-28.9℃~-34.4℃地帯)なので、僕の住んでいる地域は8b(-6.7℃~-9.4℃)にあたるので耐寒性は問題ない
という見方になります。実際にガーデニング好きのアメリカ人と話をする機会がありましたが、彼女が住んでいるのが五大湖のある州で3~4に当たりそこでシモツケは問題なく育ってると言われていました。
それと、
各植物ごとの調べ方ですが、「学名 USDA Hardiness」という検索すると英語ばかりですが色んなサイトでUSDA 5-9 とか書いてあります。
この方法が一番手っ取り早いですが、学名がわからない人は日本語で「植物名 USDA 」と検索するといくつか親切なサイトは出てきますので一度行ってみてください(^^)/
あくまで目安です
しかしながらアメリカ農務省がエリア割りの基礎を作りこの素晴らしい・文句のつけようのない「日本版・植物耐寒性地帯地図」というものが作成されましたが、
これはすごいことですが、
ココに注意
植物耐寒性地帯地図はわかりやすく細かく数字化されていますがこれが絶対に正しい!ということはありません。
さらに
耐寒ゾーンマップで割り振られている最低温度、例えば9aの最低温度-6.7℃になりますが、9aに該当する地域で、例えば都内で-6.7℃まで下がることなんて数十年に一度あるかないか
です。作成者さんはたぶん数十年分の最低温度を割り出し一番気温が低かった年を基準にゾーン分けしたんじゃないかと思ってます。
日本は四季が比較的にはっきりしているので、植物を選ぶ際には耐暑性のことも念頭に置かないといけません。
また夏は高湿度の地域が多いので湿度のことも考えないといけません。
もちろん日当たりの良い・悪い、雪が降るか降らないか、降ったらどれくらい積もるかすぐに溶けるけど頻繁に降るのか、凍るか凍らないか、その植物が好む土質などももちろんのこと、植えて良い時期・悪い時期などなど。
いろいろ書きましたが「耐寒性がある」とかそういったあいまいな表記よりかは、
上の日本版・植物耐寒性地帯地図はよりはるかに詳しく分析ができて信頼がおける判断材料かと思います。
というわけで、当サイトの植物の耐寒性についてはUSDAの耐寒ゾーン分けと日本版・植物耐寒性地帯地図を参考にしています。
こちらもご覧ください
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という内容でした。