(元)バックパッカーな園芸家・伊藤章太郎が植物のことを中心に綴ってます。

ショウタロウブログ

ぺラルゴニウム ビナセウム(pelargonium vinaceum)の育て方。球根系の原種です。

2023年8月10日

どもども~(^^)v

原種のペラルゴニウム・ビナセウム(pelargonium vinaceum)の育て方についてです。

(こう言う言葉があるか知らないけど)球根系ペラルゴニウムですね。

他の原種ペラルゴと同じように、このビナセウムも春頃に花が咲き花期が終わる初夏ごろには葉や茎など土から上に出てる部分がすべて枯れます。

そのまま数ヶ月経過した後の冬になると再び葉が土から現れるという感じの、いわゆる「夏季休眠型」になります。

実生から4年ほど育ててみましたのでまとめました。

画像とデータ

円形に一輪ずつ咲くペラルゴニウムの花序。

  • 学名:Pelargonium vinaceum
  • 別名:
  • 分類:フウロソウ科
  • 原産:ナミビア、南アフリカ
  • 形態:非耐寒性多年草
  • 耐寒性:USDA 10b(0℃前後)
  • 花期:春

分布地域はナミビア南部から南アフリカ北部になります。

ナミビアの首都のウィントフックから南アのケープタウンに向かうための移動で春に分布地域を通過したことがあります。

分布地域はナミブ砂漠の一帯が含まれています。

通過した時期が春だったということと、雑草が皆無だったスーダンのヌビア砂漠などを見た後だったかもしれませんが、

この辺りは樹高のある木がないものの割と緑があり砂漠の割に青々してるなぁという印象があります。もちろん砂漠なので乾燥してましたが。

赤い模様がブドウ色・・・?!

種小名のビナセウム(P.vinaceum)ですが「ブドウ色のような」という意味で、花びらに入る斑点みたいな模様の色を指しています。

命名した人のセンスというのか着眼点がすごいですね。

黒い花茎がドーンと伸びます。

草丈は約30cmほどで上の画像のように草丈=花茎になります。葉は地際にペタっとひっついているよう展開するので上部には伸びません。

花茎が30cmほどの高さになるには、実生からですとだいたい3年ほどかかります。

育て方

「夏季休眠型」とこの記事の上部に書きましたが、一年のサイクルは

ポイント

  1. 冬に芽吹きが始まる
  2. 初春に開花
  3. 春真っ盛り頃には開花終了
  4. 初夏には地上部分はほぼ枯れる
  5. 枯れたまま冬を待つ

といった感じになります。

参考までに当温室では12月上旬ごろに芽吹き、3月中旬ごろ開花、5月中旬ごろに咲き終わり、5月下旬から6月上旬には完全に枯れる、といった感じです。

下記に書きましたが冬に芽吹くといっても寒さに弱いので、保温施設がないと冬越しがかなり難しいと思ってください。

そのため鉢での管理が基本となります。


それと水やりですね。寒さの底を超え生育期にようやく入ったのでさぁ水でもやるか〜と意気込むと、もともとほぼ砂漠という環境下で自生しているということで割と簡単に根腐れして枯れます。

水やりについて

休眠中に掘ったら根は球根状でした。

このペラルゴニウムが枯死する原因のランキングがあったら間違いなく「水やりの仕方」が1位になるのではないかと思います。

それも「生育期とは言え水やりすぎ」という理由ですね。

特に実生1〜2年しか経過してない若い苗の水管理。一度でも水をやりすぎるとけっこう簡単に根腐れして枯死します。


それで枯死のポイントとして3つあります。
以下3点に気を使いましょう

注意しよう

  1. 根腐れを避けるためにも水はけの良い土に植えること
  2. 生育期でも水やりの量も頻度もは極々わずかで
  3. もちろん休眠中は断水


3は説明不要だと思うので端折りますが、

念頭に入れておいてほしいのが、「砂漠地帯に自生」し「球根のようないかにも蓄えている根を持つ」ということです。

分球しなかったからか実生4年の割に球根が小さい気がする。2年ごとに分球した方が良いかも。

1・水はけの良い土

1の水はけの良い土にてついて植える土にパーライトやゼオライトを3〜4割ほど入れて水やりしても、

「保水力が皆無」なスッカスッカの土に植えてください。

土作りが面倒な場合は山野草用の培養土や多肉植物用培養土でもOKです。川砂でも良いだろうと思います。

2・水やりの頻度も量も極々少量で

実生2年目の頃です。

問題は2ですね。ここが難所かなと。

ペラルゴニウム・インクラサツムのページでも書きましたが、水やりは株全体に水をかけるのはNGです。

それとたとえ生育期であっても鉢の底から水が滴り落ちるほどの量の水やりもNGです。

 

株元から離れたポットや鉢の隅の土の上に向けて水やりをすると良いです。鉢の隅が湿っていればそれで良いかなと思います。

それと砂漠という環境に自生しているからか、水切れにはそれなりに強いです。



極度の水切れをして葉先が茶色くチリチリになっても、少量の水を与えるとチリチリの部分は復活しないものの新しい葉を地中から出します。



明らかに見た目が水々しくなく葉が萎れてきたら水やりをする、といった感じで様子を見ると良いです。

若い苗の場合は極端な例ですがスポイトで鉢の隅に向かって水をまいても良いんじゃないかなと思います。

耐暑性

真夏の状態です。

夏季休眠型に耐暑性がどんなものか、という項目は必要かと思いつつも休眠期はどのようになっているかについてです。

何度も書いてますが休眠期は土から上の部分はすべて枯れています。

実生2年目株の5月下旬の様子です。

休眠に入る目安として最高気温が25℃前後になる日が増えてくると葉が茶色くなり始めます。

温室という設備と温暖な愛知県東部いう立地の関係で、当圃場では毎年GWをすぎると「枯れ始め」ます。

5月にたまに30℃を超える日があったりすると「枯れ」は一気に進みますが、正常運転なので心配しないでください。

ちなみに正常運転で「枯れ」が進んでいる状態の時に、焦って水やりをすると根腐れして枯死することがあるので注意してください

なので気温や時期を考えて、休眠に入り出したと思われましたら水やりを止めて良いです。


その後は他の夏季休眠型ペラルゴも同じような状態になりますが、このペラルゴニウムも葉が最初に枯れ、花茎と花だけが残ります。

耐寒性

一部が黒くなっている手前の葉は凍傷です。

耐寒性ですが冬に芽吹きをし始める他の夏季休眠型ペラルゴニウムと同じように霜・雪・寒風は厳禁です。

体感温度についても無加温温室にて0℃程度では冷えが原因で痛むことはありませんが、

-2℃以下の低温で葉が黒くなったり溶けるなどの痛みが入ります。

 

もちろんこれくらいの温度に下がった際に土に水分をたっぷり含んでいると、根が冷え根腐れし枯れるので注意してください。

個体差あります

咲き進むと白色っぽく変わる。

花色について個体差があるようです。

あるようです、というのは当圃場の株はどちらも咲き始めはクリーム色っぽい花色ですが、

ネット検索してみると咲き始めから白花だったり花びらの赤い斑点が少ない花があるようです。


というわけで今日はペラルゴニウム・ビナセウムでした~

ではでは~(^^)v

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