(元)バックパッカーな園芸家・伊藤章太郎が植物のことを中心に綴ってます。

ショウタロウブログ

咲くのは初夏ごろです。

ベラドンナの育て方。ナス科最強クラスの毒草と言われています。

2023年4月28日

どもども~(^^)v

毒草で有名なナス科のベラドンナ(Atropa bella-donna)を育ててみました。

あまり育ててる人がいなかったので、どんな環境を好むのかわからなかったのでいつも通りにいくつかの場所に分けて置き、

一年ほど様子を見てみました。

なおこのベラドンナはヒヨス、ダツラ(チョウセンアサガオ)と並びナス科の中では最強クラスの毒を持つと言われています。

画像とデータ

カンパニュラの何かっぽい花の形です。花はナス科っぽくない。

  • 学名:Atropa bella-donna
  • 別名:オオカミナスビ、セイヨウハシリドコロなど
  • 分類:ナス
  • 原産:欧州、北アフリカ、西アジアなど
  • 形態:耐寒性多年草
  • 耐寒性:USDA 5b(-25℃前後)
  • 花期:初夏

元々の原産地は主に欧州でも中欧、南欧州(スペインやポルトガル)と言われ、

北アフリカなどその他の地域にはその昔人為的に運ばれ定着したのではないかという話もあります。

種で増えやすいためアメリカでも州によっては野良化しているようです。

下から見た様子。

花はナス科というよりどちらかというとベルフラワー(オトメギキョウ)のような形をしています。

草丈は最大で1.2mほどで、株張りは最大で1mほどになります。

栽培してみて冬季に確実に地上部分は枯れるので、1m超えの株にするのにはそれなりに時間と手間がかかるかなと思います。

特徴

毒草です

光沢があり真っ黒の果実の中に種子が入っています。絶対に口にしてはいけない。

ベラドンナには Deadly Nightshade という英名があり日本語に直訳すると 「命とりな夜の影」という名称が付けられている通りに、

葉にも茎にも根にも全体全部全草に毒を有していると言われています。

この辺りの情報はwikipediaに詳しく書いてあります。

ベラドンナはナス科ですが、ナス科というとトマトやピーマン、ナス、シシトウ、パプリカなどなど食べられるものが多い印象を持っている人が多いと思いますが、

実は圧倒的に「人間にとっては毒」な種類が多いです。

ジャガイモは食べれても芽は毒がありますしね。

それこそトマトは南米大陸から欧州に渡った際には、毒があると信じられていて観賞用として入ってきています。

郊外や道路脇に自生しているナスの花にそっくりなイヌオオズキや外来種のワルナスビなどにもしっかり毒があります。

育て方

左:トマト(純系愛知ファースト) 右:ベラドンナ

ナス科ということもあってか発芽して本葉が出てきてもどことなく雰囲気がトマトと似ています。

間違えて育ててもある程度の大きさまで育つとトマトとは明らかに見た目が違ってきますし花の形も果実も違うので、

途中で気がつくと思うので問題ないと思いますが念のたね種播きされる際は同じプラグやポットに播かない方が良いです。

ちなみに猛毒を持つベラドンナですトマトやナスなどと同じように新しい葉や茎にアブラムシが付きます。

日当たり

種を播く前にざっくりとネットで書かれているベラドンナはどんな環境が良いのかを海外のサイトをざっくり見てみましたが、

耐暑性がなく直射日光を嫌う

と書かれていることが多く、それならとポット苗のままですが1年ほど

  • 夏は30%ほど遮光する温室内
  • 上部に遮光ネットが一年中かかっている屋外
  • 年中直射日光に8時間ほどさらされ遮るものが何もない完全な屋外

と3つの場所に放置してみました。

問題ナシ

結論、3つの場所で枯れずに生き延びました。

茎が黒っぽく色づく。どことなくナスっぽく見える。

ただ葉焼けはしないものの、夏の熱を持った直射日光に長い時間あたる場所に配置すると葉の色がだいぶ薄くなり健全な状態ではないなっという見た目になります。

もし育てられる場合は7〜9月は直射日光が長い間あたらない場所が良いかと思います。

なので理想としては夏季以外は直射日光がほどほどに当たる場所が良いです。

明るさが少ないと伸び伸びに、と見てわかる徒長はないですがどこか間伸びしてると感じる見た目になります。

耐寒性

ポット苗のまま1年中屋外放置株です。

寒さについては欧州や中央アジアに分布していることもあり、やはりそこそこ寒さに強いかなと思います。

ポット苗が完全に凍る程度の寒さ、だいたい-5℃前後まで1月と2月に数日下がる程度の環境下では枯れずに生き残りました。

分布域が欧州や北アフリカ、西アジアと広く、冬季に日本のように雪が降り積もりやすい地域もあればただただ冷える地域もあるので、

寒さについては言われているように-20℃ほどまでなら心配しなくても良いのかなと思います。

2月は地上部分が枯れ株元に翌年の芽を控え越冬します。

ただ「冬の間の根腐れ」が起きる可能性はありますので、パーライトなどを入れ保水力が少なく通気性の良い土に植えるというのは冬越しにも有効です。

耐暑性

咲くのは初夏ごろです。

日当たりについてで3種類の場所で1年放置して様子を見て思ったのはやはり欧州原産ということもあり、

低温と高温では高温の方が苦手だと思いました。

それも分布地域にない「高温で多湿な環境」が苦手です。

気温の高い時期に雨の多い本州や九州、四国で育てる場合は根腐れして枯れることが多いだろうと思います。

もっとも、多くの分布地域の夏のように真夏にリップクリームを塗らないと唇が渇くような低湿度の夏なら問題ありません。

そのため植える場所は土は風の通りが良い場所や、水はけが良い場所は必須です。

密植や混植えは厳禁です。

つぼみの様子。

ただ、よく伸び生育するのは最高気温が25℃ほどの時期で花が咲くのは30℃前後の頃なので案外気温が上がってこないと育ってくれないです。

発芽した苗も気温が上がらないと全然大きく育たず、寒の戻りなどがあると本葉が現れてもずっと縮こまったままの状態が続きます。

高温はともかく「湿度70%を超える時期に入ったら気を付けましょう」ということです。

というわけで今日はベラドンナでした~

ではでは~(^^)v

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