あまり気にしたことがなかったのですが、
パンジーってビオラと違うモノでしょ?
というような内容の質問をたまに頂くことがありまして、言われてみれば何がどう違うのかは考えたことがなかったな、
ということでパンジーとビオラを比べてみました。
尚、このブログ内にはいくつか「違いを比べてみましたシリーズ」があります。
お時間ありましたらこちらもご覧くださいね。
関連
違いは
パンジーはビオラです
パンジーとビオラの違いについての結論ですが、
結論!
パンジー = ビオラ です。
以上。
・・・・・
え・・・・これで終わり????
なわけではなくここから説明を。
パンジーの誕生
「パンジーの誕生」とかって書くとなんだかお固い内容に聞こえそうですが、
諸説はいくつか存在しているものの、ざっくり簡単にサッと行こうかと思います。
パンジーとは
パンジーについてですが、1800年代初頭から英国でビオラ・トリコロールとビオラ・ルテアの交配を中心に作り出されたことからパンジーは生まれた、と言われています。
この時期から「目」と呼ぶ人もいる花の中心が黒くなるタイプで花の大きいものが作られていきます。
その中からさらにフランスやドイツ、スイスなど欧州各国で
メモ
- 「多花性に特化するように」
- 「耐寒性に優れるように」
- 「とにかく花の大きい大輪を」
など地域ごとに違う特性のパンジーが品種として作られるようになりました。
日本では第二次世界大戦後にこれらが入ってきて品種改良が始まった、と言われています。
学名
パンジーの学名は Viola x wittrockiana(読み方:ビオラ・ウィットロキアナ ) とされています。
一応アメリカの某州立植物園のサイトなど信頼できるいくつかの機関がこのように発表しているので間違いないと思います。
ではなんでビオラ・ウィットロキアナがパンジーと呼ばれるのでしょうか?
パンジーの名前の由来
ビオラ(Viola)からバンジー(Pansy)というなんの関係性もない言葉が生まれた理由ですが、
パンジーは元々はフランス語から派生した単語です。
フランス語で思想や考えや思惑という名詞の pensée が海を挟んだ英国に渡りpenséeが徐々にpansyに変化した、と言われています。
花の模様が困惑している人の顔に見えたから、フランスではこう(pensée)呼ばれたようです。
たしかにパンジーの「目アリ」花の模様は人の顔に見えなくもない・・・かな。
余談ですが海を挟んでますが英国と近隣国の言語であるフランス語やスペイン語など、元々ロマンス系のラテン語が変化して英語になった例はいくつかあります。
園芸用語ではないですが例えば「情報」という意味の日本語を各言語で表記すると、
information(英語) - información(スペイン語) - informations(仏語)
と発音はともかく文字だけみるとほぼ同じですね。
たぶん伝達された時期の早い遅いの差はあれど、どれも元々はロマンス系のラテン語だったと思います。ちなみにイタリア語では informazioni です。
それとビオラ(Viola)はラテン語です。学名なので。
言葉から園芸を捉えてみる方法も面白いかなっとたまに思います。
思うだけですが 。
見分け方
いちおうパンジーとビオラの見分け方があります。
というか、
見分け方がありました。
と言ったほうがよいでしょうか。
というのも世界的にビオラの品種改良が進み八重咲きのねじれたモノやフリルのキッツイのが現われたりと、パンジーなのかビオラなのかの差が見た目では判別が難しくなっているからです。
さらに見分け方の諸説はいくつかあり、人や地域により違うことがあります。
それでも一般的にしっくりくるパンジーとビオラの見分け方ですが、
●パンジー 5枚の花びらの内、1枚は下向きに付く。
●ビオラ 5枚の花びらの内、3枚は下向きに付く。
・・・・・たったこれだけです。
こんなんで良いの????と思われる人が多いかと思いますが、なんとなく納得できるかなっと思います。
パンジー
あらためてじっくり見てみるとたしかにパンジーはそうだわ~っこんな形でしたよね~となりますよね。
ビオラ
原種系のビオラはほとんど5枚の内の3枚は下向きなんじゃないかなっと思います。フレックレスやオドラタなんかもそうですしね。
上のほうに
>諸説はいくつかあり、人や地域により違うことがあります
>3枚は下向きに付く。
と書きましたが、花びらが下向きに2枚付くのがビオラだと提唱する人もいるので、複数枚が下に向いてたらビオラと判断するのも良いかと思います。
見分けにくい例
品種改良が進んで従来の見分け方から完全に外れたパンジーなのかビオラなのかよくわからない例を。
見分け方定義から外れる筆頭ですね。ウサギの顔系のビオラです。
花びらは下向きには1枚ですがどう見ても「パンジーな顔」をしていません。
この手に限らず花びらが4枚のモノだったりと、定義自体に当てはまらないモノも多いデス。
見分け方のまとめ
それで僕なりの結論ですが、なんとなく世間一般では
パンジーは花が大きくビオラは花が小さい
という漠然とした暗黙の了解があるのでこれで良いんじゃないかと。
「小輪のパンジー」や「中大輪ビオラ」というなんともややこしいモノもたまにありますが、そこらへんは臨機応変に、空気や雰囲気を呼んで言い方を変えてしまって良いのではないかと。
パンジーとビオラを間違えたって一家路頭に迷ったり誰かに刺されたりする訳ではないですし 笑。
今日のこの内容はNHK趣味の園芸 1994年11月号
まだ販売されてるのかな・・・・
ではでは~