どもども~(^^)v
エキウム(Echium)の種類や品種、ざっくりとした育て方についてです。
2010年にエキウム・カンディカンスの種を播き育て始め、多年性・二年性・一年性とそれから数種類のエキウムを育てた経験があります。
研究機関等以外ではたぶんこれだけの種類のエキウムを育てたことのある人は国内にはそうそういないだろうという自負もあります。
各エキウムは記事にしましたが「エキウムとは」という入り口になるページがあってもいいかなと思い、こちらはまとめページになります。
このサイト内にあるエキウムの記事を簡単に紹介しつつ、ざっくりと各エキウムの性質の説明したいと思います。
エキウムとは?
エキウムとは欧州に分布しているムラサキ科の草本の植物になります。草本なので木ではなく「草」になります。
出だしにも書きましたがエキウムには多年草・二年草・一年草があります。
「宝石の塔」と言われる理由は、空に向かって伸びる長い花茎と無数の花がそう見えるからそう表現されているのかなと思います。
分布
分布地域は欧州全土に渡っていますがエキウム・カンディカンスやエキウム・ウィルドプレッティなど世界的にお馴染みのエキウムは、ポルトガル領のマデイラ諸島やスペイン領のカナリー諸島になります。
島なので当たり前ですが陸続きではありません。そのためガラパゴス諸島などと同じで固有種が多い環境です(ちなみに日本も世界的にはそう見られています)。
位置的にはアフリカ大陸沖とも言えモロッコや他の西アフリカの国の方が欧州よりも近い距離に位置しています。
また分布地域を一言「欧州」と言ってもご存知の通り欧州は広くロシアの方に分布しているエキウムもあり、ロシアとカナリー諸島の直線距離は約5000kmあります。
近年ではアメリカの西海岸や赤道に使いオーストラリア沿岸部など、温暖な地域で色々な種類のエキウムが自生しているようです。
育て方
種類により違います
分布地域や環境に違いがあるため性質が各エキウムごとに異なることがおわかり頂けたかと思います。
ココがポイント
そのためよく他サイトでも書かれている「高温多湿に弱い」や「水のやりすぎ注意」などは当てはまる種類もあれば、当てはまらない種類もあります。
耐寒性についても各種でけっこう差があります。
ざっくり言うと文頭に挙げました、私が最初に育てたエキウムであるカンディカンスは真夏はけっこう水を欲しがるため水切れを心配する必要がありますし、
真夏に同じ頻度と量の水やりをエキウム・ウィルドプレッティに行うと根腐れします。
ホント「種類による」というのが何種類もエキウムを育ててる人の感想です。
耐暑性
「高温多湿に弱い」ですがこちらも種類によります。
カンディカンス含め木立性の多年生エキウムの多くは屋外管理で愛知県西部の夏でも問題なく夏越します。
エキウムが自生している多くの地域の夏は愛知県西部のように湿度が高くないので、高湿度の環境はどちらかと言えば「好みではない」です。
ですが、パーライトやゼオライトなどを植える土に混ぜ水はけを良くし、密植えにならないようにしたり風の通りを良くすることで高湿度の環境もクリアできます。
耐寒性
「エキウムは寒さにも弱い」とよく言われていますが、耐寒性についても各エキウムでけっこう差があります。
ロシアに分布しているエキウム・ルシカムは種小名のルシカム(= rusicum)のラテン語の意味がロシアという意味だからなのか、耐寒性は-20℃ほどまでと言われています(もっと下がっても越冬したという話も)。
カナリー諸島のテネリフェ島の固有種のエキウム・ウィルドプレッティは標高が2000mほどの位置にも自生しているようで、耐寒性は-6℃ほどではないかと言われています。
ウィルドプレッティが雪に埋もれている画像も検索すると出てきます。
その他では秋に芽吹き春に咲く一年草系のエキウム・ブルガレは、咲いたら枯れるものの一冬を越えるため耐寒性は優れていましてこちらも-20℃以下でも耐えるのではと言われています。
ですがカンディカンスやその他の木立生エキウムの種類は耐えられてもせいぜい-3℃までです。
そのため「エキウムは寒さに弱い」と言っても種類によるかなと思います。
肥料食い
暑さや寒さについては種類によると書いてきましたが、エキウムを育てる中でどの地域でも共通していることがあります。
メモ
それはエキウムはとても肥料食いということ。
特に花茎が立ち始める少し前から開花中の間。
実はこれはエキウムだけではなくエキウムが属しているムラサキ科の特性であり、肥料分に乏しい痩せた土に植えると花茎が上がり始める時期に葉が赤や黄色くなり始め、
最悪の場合は花茎が伸びず花も数輪だけ咲き枯れることがあります。
株の大きさの割に葉の数が少なく見える場合も肥料分が足りていません。
そのため植える土には長い期間有効な遅効性の肥料をしっかり混ぜて植えてください。
それでも花茎が上がってくると葉が黄色くなるので、そうなった場合は液肥をじゃんじゃん与えてください。
鉢植え管理ですと高確率で花茎が上がる際には葉が黄色くなるので、そうなったら液肥やIB化成でしのぐと良いです。
IB化成の量ですが例えば10号鉢でしたら10粒ほどで良いです。
種類
一年草
エキウム 'ブルーベッター'
一年草系のエキウムでよく見かけるのはエキウム 'ブルーベッター' 和名はシャゼンムラサキ です。
空に向かって穂状の花序に無数の花が咲くタイプが多いエキウムの中では珍しくマウント状にこんもりと丸くなる種類です。
秋と初春に少しだけ市場に流通します。
一年草のエキウムの主な特徴としてこぼれ種で増えやすく、環境が合うとけっこう雑草のごとく繁殖します。
エキウム・ブルガレ
ある年の秋にオランダのアムステルダムを歩いていたら単なる空き地に咲いているのを見つけ嬉しかったエキウムです。
濃い青花が綺麗な種類です。
生育サイクルとしては秋に芽吹き春に咲き夏に枯れるという感じですが、発芽が遅れたりした株は自生地では秋に咲くこともあります。
日本国内の多くの地域では夏越しができないですしこぼれ種もおそらく夏の間に種が蒸死すると思うので、種を採っておいて秋に播くというようにして維持されるのが良いのかなと思います。
記事はこちら↓。
二年草
「宝石の塔」と呼ばれる物を具現化しているのが二年草のエキウムです。
現地では花茎だけで1.5m以上にもなり、開花の時期は岩や砂しかない場所にもドドードンと乱立している光景は圧巻のようです。
二年草なので開花したら必ず枯れます。
エキウム・ウィルドプレッティ
おそらくエキウムというとこの赤花を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。
カナリー諸島がテレビで特集されると確実に紹介されている印象があります。
ザ・宝石の塔です。
栽培にはややコツが入り「エキウムは高温多湿に弱い」というイメージを付けられたのは、自分で育ててみてウィルドプレッティのことだなと確信しました。
「高温には強いですが、高湿度には強くない」が正解かなと思います。
記事はこちら↓。
エキウム・シンプレックス
エキウムには珍しい白花種です。
葉に光沢があり日光が当たると葉が光って見えます。
鉢で育ててもものすごい量の花が咲きます。
基本的な育て方はウィルドプレッティと同じやり方をすれば枯らさずに育てられ開花まで持っていくことができます。
記事はこちら↓。
多年草
多年生のエキウムについてざっくりと。
多年生のエキウムの多くは木立性で、1株で株張りが3m、高さが2m以上になる種類もあります。
また木立性の多くはカナリー諸島とマデイラ諸島に分布しています。
エキウム・ルシカムのように数種はユーラシア大陸にも分布していますが、寒さ対策のためか他の宿根草と同じように寒さを受ける箇所を減らすためにロゼットを組んで越冬するモノが多いです。
エキウム・ウェビー
光沢があり銀葉がとても特徴的なエキウムです。
花色は薄い青色で銀葉とのコントラストがとても絶妙な雰囲気を醸し出します。
木立性エキウムの中では小型の種類になります。
記事はこちら↓。
エキウム・カンディカンス
青い花の塔がそそり立つ国内でも人気のあるエキウムですね。
木立性のエキウムの中では耐寒性が優れている方で-3℃ほどあります。降ってすぐに止む程度の雪も問題ありません。
愛知県では名古屋南部などでは地植えで育てられます。
関東以西の太平洋側の地域で冬にあまり氷点下にならない地域でしたら年中屋外で育てられると思います。
ただし気温が高い時期の水切れには要注意です。
実生から育てると青花以外に水色、白花、と現れることがあります。
記事はこちら↓。
エキウム・デカイスネイ
一見すると「木」のような見た目のエキウムです。
花は他のエキウムと比べると一回り大きく、白い花びらに少し青色が混じります。
花序は穂状というより円錐形です。
葉の表面に細かく固い繊毛があります。素手で触ると痛みを感じる程度の固さです。
葉色は濃く肥料切れでもあまり色が落ちないので元々の濃い葉色なのだと思います。
木質化した茎も硬く葉に固い繊毛があるため、なんとなく自生地は風が四六時中吹き荒ぶ海岸なのかなと想像しています。
記事はこちら↓。
エキウム・ネルボスム
花序の形が卵形でとてもユニークなエキウムです。
花色は白色に薄い水色が混じる感じです。
生育具合などけっこうカンディカンスと似ていて、花が咲くまでもしかしたらカンディカンスなのでは?と思い育ててました。
記事はこちら↓。
エキウム・ルシカム
上の方でも書きましたがロシア等に分布している赤花のエキウムです。
僕が育てたことがある多年生エキウムの中で唯一の木立性でない種類です。
花色は光沢のある赤花でウィルドプレッティなどと同じように地際に張り付き花茎を伸ばします。
水はけを良く空気が滞留しない場所を好みます。
あまり大きくならないので鉢植えで育てても良いかもです。
記事はこちら↓。
それではエキウムのまとめ記事でした。
ではでは〜