どもども~(^^)v
エキウム・ウィルドプレッティ(Echium wildpretii)の育て方。夏越しや冬越しなど攻略方法です。
エキウム=高温多湿に弱い、ということを多くの人に印象付けたエキウムだと個人的に思いました。
しかしそれでも死ぬまでには一度は実際の「巨大な赤い花の塔」を見たいということで栽培に挑戦した、もしくは現在進行形で行っている人は決して少なくないと思います。
赤い花も魅力的ですが、白く細長い異形な葉も園芸好きにはたまらないのではないかと思います。
この記事はそんな情熱を持った人に向けてです。
画像とデータ
- 学名:Echium wildpretii
- 別名:宝石の塔
- 分類:ムラサキ科
- 原産:テネリフェ島(カナリア諸島)
- 形態:耐寒性多年草(二年草)
- 耐寒性:USDA 9(-5℃前後)
- 花期:初夏
原産はエキウム・シンプレックスなどと同じカナリア諸島のテネリフェ島です。
夏のバカンスでドイツなどの欧州の旅行者に人気がある島で、その昔は新大陸攻略や他大陸との交易する際の欧州へ入る前の中継地点で栄えた島です。
余談ですがアフリカ大陸を含めその周辺の島々を周遊する一番多い旅行者の国籍はドイツだ、とアフリカ大陸を旅行している時に各国で耳にしました。
テネリフェ島はスペイン領ですが、位置的には欧州よりもセネガルやモロッコ南部など西アフリカに近いです。
それでウィルドプレッティの開花時期ですが、他のエキウムと比べるとちょっと遅いです。
初夏としていますが地域によっては5月ごろから咲きます。
種を播いてから開花までは1年半から2年ほどかかります。
上手くいくと1年で開花させられますが、「10苗中2苗が開花した」のような運的な要素が少しあるかなっと思います。
鉢植えで栽培する場合はカナリア諸島に分布している他のエキウムと同様に、できれば10号鉢以上の鉢に植えるのを推奨します。
大きい鉢に植えるとつぼみの量も多くバンバン開花しますし、立ち上がる花茎の下部から上部まで開花するため、文字通りの「Tower of Jewels = 宝石の塔」を見られる確率も上がります。
大きさですが花茎を含め最大で1.8m、株張りは90cmほどを目安にしてください。
開花したら絶対に枯れる二年草です。
育て方
「エキウム全種類=高温多湿に弱い」という印象を持たれているのは、
おそらくこのウィルドプレッティが高湿度の環境を苦手としているために一括りにされているからだと思っています。
それだけウィルドプレッティの人気が高く、過去に栽培に挑戦したり失敗した人が多かったからでしょう。
写真やテレビなどを見て「豪快な実物を一度見てみたい」と思わせるだけの魅力はあります。
それで確かに高温多湿の環境を苦手としていますが、何点か気を付ければ難なく夏越しさせられます。
耐暑性
結論からですが、
注意
- 水はけの良い培養土に植えること
- 最高気温が30℃を超え始めたら水やりの頻度と量を控えめに
この2点です。
この2点だけ気を付け、直射日光が1日だいたい4時間あたる程度の日当りの良い場所に植えてもらえれば良いです。
高温多湿の環境を苦手としているウィルドプレッティですが、この2点さえクリアーしてしまえば夏越しはそれほど難しくありません。
実際に日本屈指の高温多湿地域の名古屋市南部の園芸素人の方がウィルドプレッティを開花させてます。
確かに園芸素人の人が開花に成功できていますが、実感として気温35℃・湿度80%を超える頃になると生育がかなり緩慢、というか地上部分を枯らして夏越しするの?という状態になります。
下記画像のような葉が痛み「心配になる見た目」になっても、焦らず水やりを行わないようにしてください。
詳しくは下の項目で解説してます。
水はけの良い土
水はけの良い土ですが、僕の場合はいつもながら一般的な培養土+ゼオライトです。比率としてざっくりで8:2です。
天然の多孔質鉱物で根腐れ防止剤として販売されているゼオライトですが、山野草の土や多肉植物の土によく入れられています。
ゼオライトが単体で購入できない場合は山野草の土で代用できます。
水やりの仕方
これまで何種類かエキウムを触ってみましたが、高温の時期にはカンディカンスなど木立性エキウムは水切れに注意する必要があります。
ですが、ウィルドプレッティは高温の時期にカンディカンスのように毎日バシャバシャ水やりをすると根腐れを起こしすぐに枯れます。
上記の株は8月上旬まで完全な屋外放置苗で、真夏に雨ざらしにした結果です。
普段使いのそれなりに水はけの良い土に植えましたが雨が数日降られたことで徐々に葉が痛み始め、緑色の部分がなくなった株もありますね。
ポットの土がしっかり水を含んでいたため、雨が当たる心配がない温室の風通しの良い出入り口付近に移動させポット内の土が完全に乾くまで一切何もせずただひたすら放置。
完全に乾いてからの水やりは葉が萎れたら表面が少し濡れる程度を2日に1回。
どんな水やりでもそうですが基本は、
水やりの基本
- 葉が萎れてから
- 鉢なりポットなりを持って軽いと感じたら
水やりについての詳しいことは下部にリンクを貼っておきますのでご覧ください。
この「やっているかやっていないかの水やり」を続けること一カ月強。
3苗は枯れましたが、活動できる気温まで下がってきて回復。
ここまで戻れば植え替えたりして良いです。
多くの植物でも、というのか動物でも
「生育が緩慢になっている状態の時は水も食べ物も少量で良い」
ですよね。
なお、水やりについての詳しいことはこちらで。
耐寒性
耐寒性についてですが屋外放置での観察を行っていなく実体験として綴ることはできませんが見つけた情報を少し。
テネリフェ島には3000mを超える山があり、ウィルドプレッティはその2000m前後の場所に自生しているようです。
比較的に温暖な地域なので標高が高いと言っても(緯度は奄美大島と同じ)、雪や霜はきつくないと思っていたのでそれほど寒さには強くないであろうと思っていましたが、
下記のアメリカの投稿型サイトにて雪に埋もれたウィルドプレッティの画像が載せられていて、さらに翌年開花しました、と書かれていたのでちょっとビックリでした。
画像だけでも見る価値はあるかと思います。
https://plantlust.com/blog/2016/05/echium-wildpretii-a-tale-of-survival/
投稿者の居住地域はアメリカ農務省作成の耐寒ゾーンでZone9(-3.9~-6.6℃)に当たる場所のようで、-6℃前後がウィルドプレッティには限界ではないかと言われています。
実際に他のサイトで-6℃以下は枯れると書かれているので、参考になればっと思います。
なお、当サイトの耐寒性についてはこちらもご覧くださると嬉しいです。
苗の量産はできたので、今年は耐寒試験はできるかなと思います。
ウィルドプレッティの耐寒性については更新いたします。
ここから追記
日本国内で雪に埋もれながらも越冬したウィルドプレッティの様子の画像を入手できました。
数センチの積雪の中ですが他の欧州大陸原産以外のエキウムでしたら、この程度の雪でも株が死ぬことがあります。
この後このウィルドプレッティ達は葉痛みがなく育っています。
その他
肥料切れに注意
このサイト内のムラサキ科の植物の記事には必ず書いてますが、
ムラサキ科の植物は開花少し前から肥料がかなり必要になります。
肥料切れを起こしたまま花茎は上がってしまうと、たとえ開花しても「期待していたより全然花の数が少ないのですが・・・・」とまた1年か2年頑張らないといけなくなります。
この記事の最初の段階で「大きい鉢に植えましょう」と書きましたが、このようにならないためにもっという意味もあります。
この記事内の開花株のように7号鉢のようにそれほど大きな鉢に植えてないのに花茎が上がってしまった場合は、10回に1回で良いので液肥を入れて水やりを行うと良いです。
黄色っぽくなっていた葉の色が白っぽく見た目が良い状態に戻るはずです。
花後は倒れます
花後ですが、シンプレックスのように倒れます。
シンプレックスの記事内でも書きましたが、受粉し結実した種を花茎を倒すことで生息地域を広げていくのかなっと思います。
またかなりの肥料分を吸っていて開花株の近辺は痩せている可能性があり、自分の傍で発芽しても育たないのでなるべく遠くへっということもあるのかなっと勝手に思っています。
植栽風景
滋賀県米原市にあるガーデン施設・ローザンベリー多和田にてエキウム・ウィルドプレッティが鉢植えですが、
ジギタリスやクレマチスと同じようにお庭を彩る一つの植物として配置されていました。
バラや宿根草を中心にお庭作りされているとエキウムはややお馴染みでない植物な印象がありますが、
このように鉢植えで風景の一つとしても十分に使用し鑑賞価値のある花材だと思います。
というわけで今日はエキウム・ウィルドプレッティについてでした~
ではでは~(^^)v