どもども~(^^)v
巨大で豪快なアンジェリカ・ギガス(Angelica gigas)の性質や育て方についてです。
初夏ごろから大きな赤紫色の花が咲くセリ科の多年草ですね。
和名はオニノダケと呼ばれ、日本の一部地域も分布しているからか栽培はそれほど難しくない印象があります。
ですが横にも上にも大きくなりますので、しっかり植える位置を決めるなどした方が良いです。
開花する頃は「明るい日陰の環境が理想」いう点は覚えておいた方がよいでしょう。
「憧れのアンジェリカ・ギガス」と言われる人がいましたが、確かに実物はそう思わせるだけの雰囲気があります。
画像とデータ
- 学名:Angelica gigas
- 別名:オニノダケ、コリアン・アンジェリカ
- 分類:セリ科
- 原産:朝鮮半島、日本の一部地域
- 形態:耐寒性多年草
- 耐寒性:USDA 6b(-20℃前後)
- 花期:初夏
海外のガーデン雑誌やお庭系の紹介サイトを眺めているとほぼ確実に載ってますね。
名前を知らなくても目にしたことがあり気になっていた人も多いのではないでしょうか。
個人的にはウィズリーガーデンのボーダーで使用されている印象が強くあります。
花や花茎が赤紫くどこか力強い様子もいかにも「外国産」と思われがちですが、
「コリアン・アンジェリカ」という英名があるようにアンジェリカ・ギガスは東アジアに分布しています。
日本国内では九州と四国の一部地域に分布しています。
自然環境下で自生している「野良アンジェリカ・ギガス」は見たことないですが、
ネット検索していくつか画像を見てみると「野良」は他に競合する植物がいるせいか、なかなか上のような画像の大きさには育たないようです。
草丈は1.5m、葉張りは1mほどを目安にしてください。一言で表すとどデカい赤紫花のセリです。
1枚1枚の葉も大きいので花茎が伸びてくると上にも横にも豪快な存在感があります。
育て方
ポイント
巨大な草姿で赤紫色の花がいくつも咲いている様子を実際に見てみたいと思ったことがある人は決して少なくないと思いますが、
「いったいどうやって育てたら良いのか?」という疑問を解決してくれる本やサイトが見つからず、コツを掴むのに数年を要しました。
後述してますが、一度咲いたら必ず枯れる多年草なのはわかっていたものの当圃場には何年も枯れずに生き続けていた株があり、
という状況が続きました。
いつまでも咲かないなーっと思いながら、ようやく開花した時にようやく何が必要だったかがわかりました。
育て方とは別に
ポイント
- 日当たりの理想は1~5月ごろまでは長時間直射日光が株に当たり、6~9月末あたりまでは「明るい日陰」、10月以降は直射日光下、が環境が超理想 ※超重要
- セリ(ニンジンの仲間)なので根は下に向かって伸びます。地植えの際は根が伸びやすいように出来るだけ深い位置まで土を柔らかくしておくとよい
- 「巨大」ということを念頭に。くれぐれも密植えしないように。
番外. 鉢植えで育てる場合は最低10号鉢で。5号鉢で咲かず8号鉢で咲かず10号鉢にしてようやく開花した、という経緯があります。
いくつかポイントを挙げましたが、
アンジェリカ・ギガスがうまく育ち開花する条件として最重要と感じたのは1の「日当り」です。
植える土や場所に関しては海岸の砂であったり粘土のような土であったり、河原や池のほとりのような常に水分がある場所のような極端な環境でない限り気にしなくて良いです。
できたら水はけは良い環境の方が良いかなと思いますが。
日当たり
個人的にアンジェリカ・ギガスを上手に育てる8割は日当りの具合だと感じています。
重複しますが、
ココがポイント
- 1~5月ごろまでは長時間直射日光が株に当たり
- 6~9月末あたりまでは「明るい日陰」
- 10月以降は直射日光下
な感じの環境がもっとも理想です。
余談
ちなみに英国の種屋さんのサイトを見てると、
「アンジェリカ・ギガスを植える場所は日当りの良い場所(Sunny Place)で」のように書いている場合がほとんどです。
ですが、これについては夏以外の季節はほぼ曇りの日がほとんどで晴れる日の方が圧倒的に少ない、という「英国の気候では」という基準で書かれていると確信してます。
鉢植えでしたら移動させれば良いですが、庭植えされる場合は大きく育つことも日当りの加減を考慮した方が良いです。
アンジェリカ・ギガスが自生している環境はおそらく、落葉樹の多い林端や夏期は曇りや霧が山のたもとなどではないかと想像しています。
アンジェリカ・ギガスを上手に栽培するにあたって「もしかして日当りげ原因かも」っと疑問に思ったきっかけは、山道で見つけたこのシシウド。
開けた場所で日当りが良さそうに見える上の画像のシシウドが自生しているこの場所は、前も後ろも山に囲まれ谷のような場所で、
直射日光があたってもせいぜい2,3時間かなっと思えた場所です。山に囲まれているので霧や曇りが多いだろうなとも。
種類も分布域も違うモノの、同じアンジェリカなので通じるものはあるのかなと思いました。
そしてら上手く開花してくれたので結果的に当ってたなっと実感。
耐暑性
ココがポイント
高温多湿の環境はまったく問題視しなくて良いです。真夏の温室の夏を数回経験させても枯れません。
土に関しても雨が降って1週間水が引かないとか、そのような極端な土質や場所でない限りは育つと思います。
ですが、日当りだけは気を付けてください。
何回でも書きますが6~9月末あたりまでは「明るい日陰」がベストな場所です。
この時期に直射日光がガンガン当たる場所に晒すと、葉色も茎の色も薄くなり焼けて最終的に枯れることがありますです。
耐寒性
寒さに関してはほとんど心配する必要がないです。
早春に芽吹きが確認できず、冬の間に枯れてしまった場合は寒さが原因ではなく他に原因があると思われた方が良いです。
なお、越冬は地上部分は完全に部分が枯れます。
性質
性質は短命の多年草です。花が咲いたら必ず枯れます。
この記事内の画像の開花している株は3.5ポット苗から開花まで4年ほどかかりましたが、
しっかり上に挙げましたポイントを抑えて育てれば苗からでも2年くらいで開花まで行けるのではないかと思います。
海外サイトのいくつかは、「開花後に種ができる前に半分ほどの位置で切ることで株が枯れずに生き残る」ということを書いている記事がありますが、
実際にこれを日本国内で行って株が生き残った例をいまのところ確認できていません。
僕の知人2名にも種ができる前に切ってもらいましたが、見事に枯れています。
理由としてはアンジェリカ・ギガスを切ると茎の中心は空洞で雨や水やりをしているとそこに水が溜まり腐って枯れる、とのことでした。
当圃場で開花した株の衰退を見ていると他の短命系多年草(クラリーセージなど)とは違い、
たとえ茎の中心部分の空洞に水が溜まらなくても株の下から茶色くなり株全体がボロボロになっても花が咲いていたので、
そもそもある程度開花してしまった時点で役目を終えてるのかなっと個人的にはそう思える枯れ方でした。
アンジェリカ・ギガスの多年草化に興味がある方は保証しませんが、一つの方法としてやってみてください。
発芽率
「憧れのアンジェリカ・ギガス」と言われる割に流通してるの?どこで買えるの?というほど販売されているのを見かけない理由がこちらです。
発芽率がこれくらいです。
ココに注意
90粒を播いても発芽するのはだいたい10芽ほどです。
アンジェリカ・ギガスは元々が発芽率が良くない植物と言われています。
遅れてこの後も数ヶ月かけてポツポツと芽が出てきますが(それでも4〜5芽ほど)、半分以上発芽することはないです。
この発芽率の悪さが苗が流通しない理由です。経済生産に圧倒的に向いていないのです。
発芽率が良くない理由はいくつかありますが、低温処理が一番の理由だと思います。
具体的な温度はわかりませんが、微妙な低温を保ち続けないと休眠打破できないということを耳にしたことがあります。
種を播いてみようと思っている方は、
この発芽率というか2000粒播いても1粒も発芽しないという可能性があるということを頭の片隅に入れておいてください。
最後に上の画像は実生での個体差です。
葉の葉脈が赤くても白くても同じ花が咲くのでご安心ください。
というわけで今日はアンジェリカ・ギガスでした~
ではでは~(^^)v