どもども~(^^)v
ガーデニング好きな人に隠れファンが多いアルケミラ・モリス(Alchemilla mollis)の育て方について。
グランドカバー的な役割で使われることが多く、地域によってはこぼれ種で増え煩わしくない黄花が人気がある理由でしょうか。
ここでは高温多湿地帯で夏越しをさせた時のことや花が咲かない理由や、その他の育て方などを。
画像とデータ
- 学名:Alchemilla mollis
- 別名:レディース・マントル
- 分類:バラ科
- 原産:カルパティア山脈、コーカサス地方
- 形態:耐寒性多年草
- 耐寒性:USDA 4(-34℃前後)
- 花期:春
中世の頃から欧州では「女性のためのハーブ」と呼ばれ「レディース・マントル =Lady's Mantle = 女性のマント」と文字通り「体を守る物」とアルケミラ・モリスは認識されていたようですね。
アルケミラはいくつか種類はありますが、レディース・マントルと呼ばれるものはこのモリスです。
ちなみに食用や薬用ハーブとしての使い方は僕はその道のプロではないので知りません。
草丈は30cm、株張りは40cmを目安に。
でも環境が合うとこぼれ種で増えて簡単に群生するので株張りに関しては40cmとはとても思えないかも。
なんせ国によっては侵略的外来生物として認定しているところもあるらしいです。
枯れる理由
暖地ではほぼ夏越しは不可能
さてアルケミラ・モリスについて何か書こうかなっと思った理由ですが、
どことは言いませんがいくつかの園芸系のサイトに
「生育はきわめて強健」や「ビギナーでも簡単!」
的なことを書いてあるのを見て、
「育てたことあるの?これ書いた人?」
と思ったのと
植物の扱いに慣れてないとほぼ不可能なんですけど
っていうユーザー目線で書いてみようかなと。
夏越しの模様
たぶん数少ない「太平洋側の高温多湿地域」での夏越し例だと思います。
もしかしたらですが、
え?アルケミラ・モリスって夏越ししないの?
と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、太平洋側の多くの地域では「普通に植えても」アルケミラ・モリスは夏越しできません。
夏になると消えて土に還ります(ホントに)。
ここで言う「太平洋側の高温多湿地域」というのは夏の間に頻繁に「最高気温35℃・湿度80%」という不快指数が90を越える地域のことです。
不快指数を計測したい場合はこちら ➡ CASIO 計算ページへ
上の画像は夏越ししたアルケミラ・モリスです。
僕にとっては通算2回目の夏越し株です。
新しい葉が出て来てますが、よく見ると焼けている葉がチラホラあります。
前年の2012年の11月ごろに3.5号ポットから6号ポットに植え込んでしっかり根を張らせた株です。
「訳あって」5ポットだけ手元に残ってしまったために観察してました。
置き場所ですが、僕の温室の脇にある空いている場所です。
- 毎日6時間ほど直射日光が当たる
- 水やりは7月から9月の間は霧状になった水が株全体を濡らす天井灌水を最低2回
と他の植物とまったく同じように接していたので高温多湿を嫌うアルケミラ・モリスにとっては絶望的な生育環境ですね。
でもまだ救いなのは、ゼオライト
ココがポイント
名古屋が熱帯夜という予報が出ても当圃場が川沿いで田んぼに囲まれているせいか夜温が25℃を越えることはほとんどない場所だった、ということでです。
それでもこの年の夏ですが6号に植え込んだ5株が夏越しできたのは画像にある3株です。手前の1株はポットの土が見えてるのでほぼ瀕死状態から復活してきた株なので
このことから考えると、
注目!
水やり方法などたとえアルケミラ・モリスが好まない生育方法とは言え、
秋に植え込みしっかり根を張らせかなり良い状態に仕上げても、他の植物と同様の管理方法で生き残る確率はほぼ半分くらいしかない
ということではないでしょうか。3号ポットなどの小苗に埋まったままではまず無理だと思います。
しかも一般的に地植えよりも乾燥しやすいと言われる鉢植え(この場合はポットですが)でコレですからね。
間違っても
「ビギナーでも簡単!」
は言えないんじゃないかと思います。
庭植えされた場合はほぼほぼ夏越しできず溶けて枯れると思ってください。
自生地の環境から考える
カルパティア山脈って何????
となる人がほぼ100%だと思います。僕もどこか知りませんでした^^;
主にスロバキア、ポーランド、ウクライナ、ルーマニアと、周辺のチェコ、ハンガリー、セルビアにまたがっており、全長約1500km。 スロバキアのブラチスラヴァ付近から北東に延び、東、南東へ向きを変えてルーマニア中部のトランシルヴァニアに達し、さらに西、北へと向きを変える。
最高峰はスロバキアの最高峰でもあるゲルラホフスカ山(2663m)。
wikipedia カルパティア山脈より
とWikipediaにあります。
この辺りの夏の気候ですが、
- 直射日光がとにかくキツく暑くサングラスがないと目が痛いくらい
- 日陰は超快適
- 夜は半袖だと肌寒い
- 日中に雨が降っても肌寒い
というような環境です。
アルケミラ・モリスが主に自生している山脈付近はさらに快適ではないかと思います。
間違っても「最高気温35℃・湿度80%」にはならない環境です。
そのため軽井沢や小淵沢などなら綺麗に育ちます。
標高が1000m近くもちろん気温も湿度も大阪や名古屋などの都心部と比べて段違いに低いため、自生地に近い環境です。
それと夜温ですね。この辺りは熱帯夜が続く、というか熱帯夜になることはないでしょう。
まとめますと
メモ
太平洋側の大都市圏内のほとんどの地域ではアルケミラ・モリスを植栽や寄せ植えなど使っても多年草として生育することは期待できない、と思ってください。
無理です。不可能です。
1年草として割り切った方がよいです。
ポイント
アルケミラ・モリスが確実に多年草として生育できるであろう地域は耐寒ゾーンマップで言うところの「8a以下」の地域だと思います。
それでも夏越しさせたい場合
それでも夏越しさせたい場合は
「アルケミラ・モリスを基準にして植栽する」ような工夫するをしかないと思います。
とにかく水はけをよくする、例えば水やりや雨の後に水が溜まるような場所ではなくやや斜面になっている場所に植えるとか、
水を吸いやすい耐火レンガのような多孔質の構造物の傍に植える(ちなみにゼオライトも多孔質)、あとは7月から9月までは寒冷紗を庭に掛けて気温を上げない工夫をする、なんかが効果的だと思います。
育て方
さてここまで「アルケミラ・モリスの夏越しはほぼ不可能」と「それでも夏越しさせるには」について書いてきましたが、夏越し以外の事を。
花が咲かない
アルケミラ・モリスが開花しない、という話を以前耳にしたことがあります。アルケミラ・モリスは一般的に「半日陰」が良いと言われていますが、
開花させるには最低でも3時間は直射日光が必要
だと経験則から思います。
海外の植物園のサイトでも最適場所は「Full Sun/Part Shade」と書かれています。日向から半日陰が良い、という意味です。
落葉
冬季は上の画像のように完全に地上部が無くなります。
霜や雪に当たるとこのようになります。決して死んだわけではないのでご安心を。
国内でしたらよほどのことをやらかさない限りは寒さで枯れることはない植物です。
というわけで今日はアルケミラ・モリスでした~
ではでは~(^^)v