(元)バックパッカーな園芸家・伊藤章太郎が植物のことを中心に綴ってます。

ショウタロウブログ

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【知っておいた方が良い】春咲きの多年草・宿根草について秋植えが良い理由を10項で。一覧もあります。

2016年9月15日

どもども~

今回はガーデニング用の宿根草や多年草についてです。

秋が植えるのに良い時期なのはわかるけどなんで?という疑問に対してまとめてみました。

 

僕自身もこれまで一年草や多年草、常緑樹も落葉樹も多肉植物も色々な植物を触ってみて

 

感覚的に理解していたけど言葉にして説明しずらかったこと

 

を多少他から引用させてもらいましたが形にしました。

 

学問的な根拠などのツッコミを頂くと少々困りますが、というか完全に生育メカニズム的なことを説明をできる人がいらっしゃいましたらぜひとも教えてほしいです。

あくまで経験則を形にした内容です。

※この記事は約12分で読めます。

はじめに

 

といった感じで植物には植え付ける適期に植え付けておかないとその後の生育にやや支障をきたす場合があります。

 

ではなぜ「●●の時期」までに植え付けないといけないのかって疑問に思ったことありませんか?

 

例えばチューリップの場合ですと翌春に開花するためには一定期間の寒さに当たる必要がありそのため

 

開花時期から逆算するとだいたい10月から11月に植え付けておくとしっかりした花が咲いてくれる

 

という理由があります。

 

また落葉樹の移植や植え付けが落葉している時期が良いとされているのは、

 

休眠中または成長が緩慢な時期なので、移植などの際に根を多少切っても株にかかる負担が低く活着しやすいから

 

という理由があります。

 

これら2点のことは園芸している人にとっては当たり前に知っていることですね。当たり前過ぎていまさら文章として書かれると読んでいる側が恥ずかしくなることかもしれません。

 

ですが今回はチューリップとかメジャーなモノではなく、あまり触れられていない

「多年草や宿根草と呼ばれる植物」

を植える適期についてです。

疑問

多年草や宿根草という植物の植え込み時期に関してですが、

 

多年草や宿根草を「秋」に植え付けた方が良い言われるけどなんで?と疑問に思ったことありませんか?春ではダメなんですか?

 

っとどこかの某国会議員のような質問の仕方ですが、

当たり前にチューリップは秋植えするけどそれは理由がわかっているから。宿根草も秋冬に植えたほうがよいはなんとなく知ってるけど理由までは・・・と感じる方がほぼ100%だと思います。

「秋 宿根草 植える理由」など似たような単語を入れ変えて検索しても1つも具体的な答えは出てきませんでした。

 

僕自身も「翌春咲きの宿根草は絶対に秋冬に植えたほうが良い!」と感覚で知っていただけでしたが。

秋植えのメリット

それでは「秋植えが推奨される理由」について説明していこうかと思います。

 

以下、結論です。

 

秋冬植えのメリットとして。

気温の高い夏が過ぎ本格的な寒さが到来する前の数カ月間は、穏やかに下がっていく気温や暖かみのある日光のおかげで土は根を広げるための適度な暖かさを蓄えています。

暖められた土に植え付けられた植物は数カ月後にしっかりとした葉の展開ができるように、地上に現れている部分よりもそれ以上に土の中で健康な根を成長させるための活動を行っています。

 

またこの期間は全国的にも空気中に湿度が少なく土の中の水分も抜けやすいため、根腐れが起こり難いのも小さなメリットでもあります。

 

 

翌春になり気温が上がってくると、新芽や地中から芽が出始め、それ以上に地中ではさらに根が急速に広がっていっています。

 

 

花が咲き切った後は春の間にさらに広範囲に張った太い根が水分や栄養素を供給することで株を助けます。

そのためその植物は酷暑と言われていても太く広がった根のおかげで株自体が深刻なストレスをそれほど受けずに暑さを耐え凌ぐことができます。

 

さらに翌秋には春よりも株張りが良くなっていきます。

 

またいくつかの春咲きの多年草にはある一定の寒さに当たることで花芽を作る作用を持つ種類のものがあります。

つまり冬の寒さを体験していない株は咲くはずの時期に開花しないことがある、ということです。

 

上の説明は「カリフォルニア大学・農産物と天然資源についての社会人向け講義」にて講義解説で使用されたものを参考にしまとめました。

学問的で科学的な根拠としてやや欠けますが、上記の社会人向けの講義解説は自分の中で一番しっくりきたかなっと思いました。

解説

>土は根を広げるための適度な暖かさを蓄えています。

こちらについてですが植物は気温よりも根が直接触れる地温の方が生育に左右されることが多々あります。

種播きの際には気温よりも発芽に必要なのは地温の場合が多く、

発芽適温が23℃という種を発芽させる際に気温は15℃しかない・・・でも電熱線で苗床を温め常時25℃を保てるようにしておくとあっさり発芽する、なんてことは当たり前にあります。

 

また草花系のユーフォルビア(カラキアスやリギダなど)は地温が5℃あれば根は活動する、というデータを英国王立園芸協会(RHS)は発表しています。

 

あくまで参考程度にですが、以前個人的に1月に気温と地温の差を2週間調べた際に

「だいたい気温の半分が地温」

という日が多かったです。

地温の5℃というと気温ですと最高気温が10℃前後でまぁまぁ晴れた日です。もちろん風や土の湿り具合などで変化はありますので、重複しますがだいたいの目安です。

 

ある一定の寒さに当たることで花芽を作る作用

こちらは「低温花芽分化」という言葉があるように、スカビオサやジギタリス、アキレギア(オダマキ)、カンパニュラなど多くの春咲きの多年草が該当します。

球根植物に分類されますが、最初に書きましたチューリップも一定期間以上の低温に当たらないと翌春に開花しません

 

こう書くと「上手に生育させるには絶対に寒さに当てないと!」と不安になりそうですが、無加温の温室に入れておいてもほとんどのモノがしっかり翌春開花してくれる程度の「低温」なのであまり気にしなくて良いです。

ですが、寒さをしっかり経験させた方が良いのは事実です。

 

メリットとして挙げるべきかどうか迷いましたが、「秋植えをおすすめすること」の付け足しで。

この時期にしか出回らないモノがある

こちらについては流通の問題ですね。生産しにくく人気のあるモノ、例えばエリンジウム・マリティマムやパンダニフォリウム、アンジェリカの類など、このようなモノは流通が始まった瞬間に出荷終了になる場合が多いです。

まとめると

  1. 本格的な寒さが訪れる前にしっかり根の張りを張らせることで頑丈な株に育つため
  2. 寒さに当たらないと開花しない可能性のあるため
  3. 秋頃にしか販売されない多年草があるため

となります。

秋に植えられなかった場合のデメリット

デメリットは2つあります。

あまり育たない

地上に現れている部分よりもそれ以上に土の中で健康な根を成長させるための活動を行っています

新芽や地中から芽が出始め、それ以上に地中ではさらに根が急速に広がっていっています

根張りについてですが、秋植えせずある程度暖かくなってから植え付けるということになると

  • 地下では根を張らせる作用
  • 地上部では株を大きくする作用

と2つのことを同時に行うことになります。

そのため本来なら80cmほどになり開花し、さらには脇芽が出たりし次々と開花を楽しめる植物が、半分の40cmほどしかならず花は咲いているが脇芽が出ず3輪ほど咲いてこの年は終了

なんてことが多々あります。開花した小さいポット苗のジギタリスを植え付けるとこうなりますね。

さらにはこの例は多年草ではないですが、春にオルラヤ(オルレア)を植えこむと大概このようになります。

 

それこそ開花を見られたら運が良い方で、最悪開花が翌年になることもよくあります。たった1ヵ月植え込みがズレただけで1年待たないといけない!なんて事態が起こります。

僕も植え付けが遅く開花をさらに1年待ったなんてことを何回も経験してます・・・・。

夏越しできない

花が咲き切った後は春の間にさらに広範囲に張った太い根が水分や栄養素を供給することで株を助けます。そのためその植物は酷暑と言われていても太く広がった根のおかげで株自体が深刻なストレスをそれほど受けずに暑さを耐え凌ぐことができます。

 

正直秋植えを推奨する1番の理由」が実はこの部分です。

 

多年草とラベル書いてあるのに1シーズンで終わった、とか、私の株は夏越しできなかった

 

など、誰しも一度は経験していることで疑問に思ったことがあると思います。

 

このことについて、

春に咲く多くの種類の多年草は開花が始まると同時に根の成長が徐々に止まっていくと言われています。咲き終わりの頃には根の成長も一旦止まります(この作用の専門用語があったはず)。

そのため根の張りが狭い多年草は、広範囲から栄養素や水分を調達できずその後迎える気温が上がる夏に対して株を維持できず枯死する可能性がとても高い

ということが起こります。

簡単に言ってしまうと

暑さや蒸れといった要因で「枯れる」のではなく、夏を乗り越えられるほどの体力が備わってなく株が疲弊したために「枯れる」ということです。というのも株を維持するために本来なら広範囲に育っているはずの根がないから

ということです。

春咲きの多年草の多くはたとえ耐暑性に優れていても暑い中でも花を咲かせながら成長していくことを同時に行う日々草やアンゲロニアのような植物ではないのです。

デメリットまとめ

メモ

  1. 根の張る作用と芽を出し大きくなる作用を同時に行うため結果的に株の育ちが良くない。最悪開花しない。
  2. 咲き終わると根の成長も止まるため根の張りが狭く栄養素等を十分に供給できず夏越しができない可能性が高くなる

となります。

いつまでに植えこんだら良いか?

またいつまでに植え込んだほうが良いのかという目安ですが、

 

「植え込みの時期は最高気温が10℃前後、最低気温が5℃を連続して下回る日が徐々に続き始める期間の前までの2週間くらい前まで」と思ってください。

 

こちらについては地域差や季節によって差ががありますのでこちらで過去の気温を確認してみてください→過去の天気(気象人サイトへ)

2015年の新潟県の下越地方の気温を例とすると、12/25以降から徐々に「最高気温が10℃、最低気温が5℃」を連日下回っています。そのため植え付けは2週間前の12/11までに終わらせておいたほうが無難です。

それ以後は「最高気温が10℃、最低気温が5℃」という日は2016年3/18までに1月に2日、2月に2日、3月は4日しかありません。

高冷地や標高の高い地域、北海道、東北地方にお住いの方ですと、おそらく最低気温が5℃を下回り始める時期は雪が降り始める時期と重なってくるかと思います。

雪が積もり始めるとガーデニングや庭作りを行うことが一切不可能になるのではないかと想像します。

耐寒性に優れたモノが多いから別に問題ないのでは?

多くの春咲きの多年草は-20℃程度の寒さなら十分に耐えられますが、植え付けとなると話は別で前述してますがある一定の温度以下になると多くの多年草は生育が緩慢もしくは停止します。

例えば-10℃の気温という状況下で-40℃の耐寒性のある植物を植えてもおそらく枯れないでしょう。しかしながらほとんど生育しないために少し暖かくなってから植え付けても生育の速度はほぼ変わらないでしょう。

氷点下になると地表が凍るために穴が掘るのが困難になる、もしくは手動では掘ることができないのではないかと想像します。

事前に植える予定の付近にマルチングなどをして凍結を防止してあればまた別ですが。

なんで2週間前がリミットなのか?

大概の多年草は根が植え付けた場所に馴染み根が張り始めるのに2週間は必要と言われています。そのためです。

こちらも根拠は何もなく経験から、ですが。

 

秋植えを始めるのに良い時期

植え始めても良い気温ですが25℃を超えると気象庁から「夏日」と言われるので、最高気温が25℃を下回ってからとしたほうがリスクが少ないです。

 

前述の通り気温が高いと必然的に「根腐れのリスク」は上がりますので。2015年の新潟県の下越地方の気温を例としますと、9/6あたりからが植え付け開始されると良いかと思います。

 

ちなみに例えで新潟県の下越地方を選んだのはなんとなく、です(^^;) 理由はまったくありません。

さらに僕は新潟県に行ったことがありません。 それと千葉県より北の地域にも行ったことはありません。 すみません(-_-;)

 最後に

もう少し短くまとめる予定でしたが、けっこうな長文になってしまいました。

 

この長文を一言でまとめると

 

「春咲きの多年草を植えるなら9月後半から12月の3週目あたりまでに開花苗ではなく開花していないラベル苗を植えましょうね」

 

ということです(;'∀')

ちなみにラベル苗はこういうモノです↓アガスターチェ’ブラック・アダー’です(^^)

専門的な知識がなく参考にした記述や解説も2つで、あとはほとんで経験則で書き込みましたので足りてない事柄があると思います。

もし専門的に書かれている書籍や、的確な単語や用語を知っているよ~という人がいらっしゃいましたら是非一報頂けると嬉しいデス(;^_^A

と、

僕のブログには「秋に植えた方が開花している苗よりも確実に良いパフォーマンスをしてくれる植物」をまとめてありますので、何かの参考になればと思います。

最後まで読んでくださった人はほとんどいないかと思いますが、 ここまで読んでくれたあなた! ありがとうございます!

感謝です<(_ _)>

ではでは~(^^)v

  • B!