(元)バックパッカーな園芸家・伊藤章太郎が植物のことを中心に綴ってます。

ショウタロウブログ

ポピー アメイジンググレイ 育てる前に伝えたいこと、注意したいことが2点。

2021年6月3日

どもども~(^^)v

微妙な色合いの開花見本画像を見た瞬間に虜になり実物を見たくなった人は多いであろうポピー ’アメイジンググレイ’ (Papaver rhoeas 'Amazing Grey') についてです。

 

SNSでブルーグレーで綺麗に咲いている投稿や検索画像での良いイメージが先行している印象がありまして、

購入前にちょっとお知らせした方が良いことがいくつかあるなっと思いましたのでまとめました。

 

結論ですが、

アメイジンググレイとしての「思った通りの」花色で現れない場合があります。不安定な品種かなっと思います。

画像とデータ

ogus_gardenさんから頂いた画像です。

  • 学名:Papaver rhoeas 'Amazing Grey'
  • 別名:
  • 分類:ケシ
  • 原産:
  • 形態:一年草
  • 耐寒性:USDA 7b(-15℃前後)
  • 花期:春

シャーレーポピーの一品種になります。

シャーレーポピーの「シャーレー(Shirley)」はイングランドの地名です。

 

花茎を含めた高さはだいたい60cmほど、株張りは50cmほどになります。

下記にて解説しましたが、けっこう幅が出るので地植えされる場合は余裕を持って植えてください。

気をつけよう

さて本題の「ちょっと気をつけたいこと」です。

2点あります。

発芽率が悪い

1つめは発芽率が悪いということです。

「小売されてる海外の種苗会社の新品種種子あるある」です。

 

100粒を播いて苗にできるのは、だいたい10~12ほどと思ってください。

 

多年草で発芽率が悪いのはまだ理解ができますが、アメイジンググレイは一般的に発芽率が良い一年草です。

日本の大手種苗会社が発表する新品種ですと80%以上発芽するモノがほとんどなので、その感覚で発芽を待つと立ち直れなくなります。

 

発芽に関しては土や環境など他の要因もあり一概に「海外の種苗会社の種子だから悪い」とは言い切ってはいけないですが、

ポピーの種を播くには気温が高い時期ではあるものの2020年に9月下旬と10月下旬と1ヶ月づつずらして播いてみてもだいたい発芽率は同じでした。

 

2021年以降に輸入され販売されるアメイジンググレイの種についてはもう少したくさん発芽してくれるのを期待したいです。

安定していない

期待させる色合いのつぼみ

この記事で一番お知らせしたい項目です。

 

アメイジンググレイは花色がまったく安定していません。

 

このポピーの種を購入する際に、本当に「ブルーグレーなカタログのような花色が現れるか」を夜な夜なかなり時間をかけてかなり検索して情報を探しました。

 

というのも僕が種を手配した年は英国の1社しか種を供給してなく、

その種苗会社の他の種類の種は開花見本写真と実物の花色が違うことが以前から本当に多く、一年草は花色のバラつきが現れやすい傾向があるということがあり花色についての情報は調べに調べました。

ちなみに手配先の会社はどの種も発芽率が悪いことで一部界隈ではとても有名な種苗会社です。

 

花色が安定していないという情報は種を購入した数年前の時点では書いているサイトはなかったですが、

実際にアメイジンググレイが開花した画像を投稿している人が集まるサイトの画像をいくつか見て、

たぶん真っ白の花は出るだろうなっと予想をしました。

 

そして僕の元で咲いた花色は

白色はまだ許せる。ピントがずれてるけど。

予想通りの白花です。

最初に咲いたのがこちらの「ちゃんとした」アメイジンググレイだったので、まだ白花は許せるかなっという気持ちでしたが。

一番アメイジンググレイっぽかった花色。

こちらの「ちゃんとした」アメイジンググレイは開花した日に強風と雨により花びらがドロドロになり良い写真が撮れず。

その他咲いた花色はこちら。

絞り咲きっぽいのも出ました。

ほぼ白っぽい花色ばかりでした。

これはこれでアリですが・・・・でもカタログ画像とは程遠い花色。

すべて1つの株から現れています。

 

それで当圃場で「ちゃんとした」アメイジンググレイが咲いたのと同じ時期に、友人のまーちゃんより送られてビックリしたこちらの画像。

2色咲き。

原種(パパベル・ロエアス - Papaver rhoeas)のような赤花です。先祖返り?してる?

もう一輪は「なんとなく」アメイジンググレイな花色。

 

まったく違う2色の花が咲いていますが、同一の株です。

1つの株からまったく違う花色が現れています。

赤色でない方を拡大。

こう見るとアメイジンググレイは赤色が変化していった感じなのがわかります。

 

さらに驚きなのが僕から苗を買われたお客様の元ではすべてオレンジ色で咲いたと連絡を頂きました。

 

あの他の植物にはなかなかないブルーグレーな花色を期待し、

秋植えをし開花するまで半年待っていたのがまさかの「どぎつい」オレンジ色だった、というのはものすごく落胆されたと思われます。

 

春のお庭の様子もアメイジンググレイの花色が咲く予定で植栽を計画されたと思うので、本当にがっかりされたとも思います。

とても申し訳なかったです。

 

100粒播いて苗にできたのが12ポット、把握できているだけでその内の3ポットは期待通りの色合いでない花色。

なんとか苗の状態にできたものの、わかっているだけで4分の1は「ハズレ」という・・・

アメイジンググレイとしての花色が現れるにはかなり狭き門です。

安定していない理由を考えてみた

実物は赤みがかってなく「やや」アメイジンググレイでした。

花色が安定していない理由として考えられるのは2点あります。

 

メモ

  1. 咲く時期の気温や紫外線量など環境の影響
  2. 海外の種苗会社の小売種子あるある

 

1については例えば同じ品種のビオラでも秋に咲いた場合と、春に咲いた場合では花色が違いますよね。

10月ごろに流通する寒冷地栽培のビオラが東京や大阪などの暖地に来ると花色が変わるように、

気温や紫外線量によって花色は変化することはよくあります。

白花が現れるのは肥料の効きが弱いからかも。

もちろん肥料の効き具合でも花色に濃淡が現れるものは多いです。

肥料切れしていると花色は薄く、肥料がしっかり効いていると花色は濃い、のような感じです。

 

2021年にアメイジンググレイを育てた方のSNSや当圃場の株を見てると、

アメイジンググレイはつぼみが上がり始めた頃の最高気温が22~25℃前後だと白っぽい花色が出やすいと思います。

 

寒冷地や標高が1000mほどの土地で栽培された方の投稿を見ると、かなり良い色合いで参考画像通りのアメイジンググレイで咲いているのがわかります。

開花する頃の気温が低い方が濃いめのブルーグレーで開花する確率は高いでしょう。

 

2の「海外の種苗会社の小売種子」についてですが、

 

海外の種苗会社が育種し日本の種苗会社が取り扱っていない品種(特に一年草)はカタログと違う花色で咲くことがよくあります。

 

花色が違って現れるモノが多いと個人的に感じるモノとして、

 

色違いが出やすい

  • スイートピー
  • ナスタチューム

 

が挙げられます。

 

特にスイートピーですね。咲く頃の気温の高低で花色が変わることが多々あります。

 

品種名を挙げるとアレですが、

ウィルシャーリップルやニンブスはそれほど気温の影響は受けにくいですが、それ以外の青系や濃い赤系の品種のスイートピーはまったく違う色で出ることが本当に多いです。

 

もしかしたら日本の種苗会社がこれらの種を販売しないのは試験栽培したものの、

望んだ通りの花色で出てくる率が高くなかったので販売するのを断念したのでは?っと勝手に想像してしまいます。

育て方

アメイジンググレイは咲いたら枯れる一年草です。

だいたい春ごろ(暖地基準で4月下旬から5月下旬)に開花します。

2〜3週間ほど咲きます。

アメイジンググレイに限りませんが、ポピーを育てる場合に「事前に行っておいた方が良い事」が3つあります。

 

ココがポイント

  1. 可能なら秋植えすること
  2. 植える時にしっかり肥料を混ぜること
  3. 意外と株が大きくなるので植えるスペースを確保すること

秋植え

秋植えに関しては寒冷地では秋植えよりも霜などの凍結等で苗が枯れるリスクを回避するために、早春に種まきをし春に植えても良い場合があります。

 

秋植えを勧める地域は関東以西の太平洋側の暖地です。

 

暖地でポピーの苗を年が明けてから植えると秋植えしたモノより株が小さく花茎が少ない場合がよくあります。

こういった理由で秋植えをおすすめします。

【知っておいた方が良い】春咲きの多年草・宿根草について秋植えが良い理由を10項で。

ポピーは肥料食い

肥料切れの典型的な例

ポピーは総じてどれも肥料食いです。

特に冬を超え最高気温が15℃を超える時期になるとグングン生育します。

3号ポットを15号鉢にたったの1つしか植えてなくても、根が鉢の中を張り巡り開花前には上の画像のように肥料が切れして黄色い葉が目立つようになってしまいます。

 

このような状態になる前に葉の色が薄くなってきたら液肥など即効性のある肥料を行うと良いです。

意外と大きくなる

3号ポット1つでも15号鉢からはみ出ます。

肥料食いだから大きくなるのか、大きくなるから肥料を欲しがるのか想像以上に大きくなります。

 

3号ポット苗でも開花するころには5倍の15号鉢からはみ出るほど横に広がります

 

そのため狭い場所にたくさんのポピーの苗を植えると、どの株も葉が黄色く小さくさらに花の上りも悪くとても見栄えが悪くなるのでお気をつけください。

その他

日当りが悪いとつぼみが上がってこない、葉がなんか間延びしたような感じで徒長する、などがの生育的な問題が起こります。

なので最低でも直射日光が1日5時間はあたる場所に植えてください。

自家採種

自家採種ですが安定していないと言えるこの品種から採種し播種しても、

ここまで読まれた人なら理解されていると思いますが同じような花色で出現する可能性は低いと思われます。

 

前年と同じような花色が出現したらラッキー!ぐらいの気持ちで自家採種されるのが良いかなと。

 

メル〇リやヤフ〇クで販売されている出品者が自分で採種された種を購入される場合も同様に安定していないモノと捉えてくださいね。

なんせ元々の性質が品種として不安定なので。

メ〇カリやヤ〇オク等でポピー 'アメイジンググレイ'の種を購入する場合に「開花画像と同じ色で咲きます~♪」と商品説明に書かれていたら、

その出品者は信用できないと考えて良いです。

 

というわけで今日はポピー 'アメイジンググレイ'でした~

ではでは~(^^)v

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