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エリンジウム・マリティマム(Eryngium maritimum) の育て方。種まきから5年の記録です。

2019年7月4日

どもども~(^^)v

エリンジウム(エリンジューム)・マリティマム(Eryngium maritimum)についての育て方を実生(種まき)から開花までをまとめました。

葉の色や形など人工物っぽく見える自然の芸術品と言っても良いかと思います。

 

ここでは播種から開花まで5年間の記録を記しました。

この間に特徴や育て方を経験し、役に立つ実用的な情報がなく不明点などは主に海外サイトを頼りに調べ実践いたしました。

※育て方だけを知りたい人はこちらから → 育て方へジャンプ

この記事を書いた人

巨大NGOの下部組織(ブラック)で事務職という名の雑用の後に、なんとなく一人で仕事をしてみようと2008年後半から知識や資金などなど、重要なモノがほぼ0の状態から園芸を生業にした元バックパッカーです。2010年から度々NHK Eテレの趣味の園芸に出演させて頂いています。

もう少し詳しいプロフィールはこちら

画像とデータ

エリンジューム マリティマムの花です。

花の感じはエリンジウムです。

  • 学名:Eryngium maritimum
  • 別名:
  • 分類:セリ
  • 原産:ポルトガル・スペイン
  • 形態:耐寒性多年草
  • 耐寒性:USDA 5(-23℃前後)
  • 花期:初夏

「元々の原産地」は大西洋側のポルトガルとスペインと言われています。

それが何世紀に渡り種が海を経て現在は欧州諸国の沿岸地域で見られます。

自生している場所はほぼ砂地の海岸です。

遠くはトルコの2つの海峡(ボスポラスとダーダネスル海峡)を渡り黒海でも奥に位置するウクライナの海岸でも自生が確認されています。

エリンジウムマリティマムのつぼみ

つぼみ

冬の間はほぼ完全に地上部分を無くして越冬します。

だいたい11月ごろから葉が落ち始めます。

草丈は80cm、株張りは50cmを目安にしてください。

放射状というのか放置していても日光に向かってドーム型になります。

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特徴

エリンジュームマリティマムの葉

葉の形がカッコイイ。

5年間見ていて他のエリンジウムと違う点だなっと思う点が2つあります。

 

1つは発芽率がすこぶる悪い。

2つめは感覚的にエリンジウム・プラナムなど一般的なエリンジウムに比べそれなりの大きさに育つのに時間を要す。

 

発芽率が悪く大きくならない、という生産する側として売り上げが望めないということでかなり致命的なこの2点。

これらが生産されず流通しない最大の理由でしょう。

発芽率の悪さを抜きにしても、3号ないし3.5号サイズで販売できるボリュームまで育つのに最低でも2年は必要かなという実感があります。

発芽率の悪さ

エリンジュームマリティマム が発芽した様子

狂喜乱舞した瞬間。

発芽率の悪さについてですが、

1年半に渡り計3回、200粒ほど播いて発芽したのがたったの3粒です。

発芽したばかりの起き上がった種と芽を見つけたときは本当にテンションが爆アガりでした。

 

さらには発芽や栽培情報がほぼない状態から栽培していたので恐る恐る貴重な2株を育てつつも途中離脱し、そしてなんとか育ったのはこのページ内にある1株だけです。

 

しかも播種後1年以上経ってからでも発芽するので種子寿命は長いからか、まとまって一緒に発芽してくれません。

多年系植物の原種によくある事ですね。原種あるあるです。

 

このエリンジウムの種子寿命が長いことに関しては、海岸から海に種が流れ着いた別の海岸で根を張り・・・ということが想像ができます。

海に長期間浮遊し辿り着いた先で発芽するため種子の寿命が長いのだと重います。

 

このことから発芽率が悪いのは理解できたと思います。

そのため普通に種播きして1ケース分(24ポット)出荷したい場合は、最低でも3000粒以上は一度に播く必要があるかと思います。

大きくならない

多年草系のエリンジウム、例えばプラナムは播種し1年もしたら地下茎から新しい芽が伸びてくるほど育ちます。

地下茎が伸びるということは地下部分も地上部分もそれなりに十分育っているということです。

マリティマムは発芽後1年程度ではまず株は充実しません。

 

繰り返しますがマリティマムは3.5号ポットに植え土が見え隠れするボリュームになるのに2年は必要です。

 

例として発芽3年目の株がこちら。

エリンジウム マリティマム 3年目の株

3年目。9号ロング鉢に植え替え。

3年目の株でもこの程度のボリュームにしかなりません。

9号鉢なので27cmですね。

株自体は30cm幅あり一見すると豪華な株に見えますが、葉の数が少なく貧祖な見た目です。

3.5号や5号ポットに植えてあったら、まぁ販売しても許されるかなっというレベルだと思いますが、それでもちょっとまだ「弱いな」という印象を持たれる人は少なくないかなっと思います。

 

続いて4年目を迎えた株。

エリンジウム マリティマム 4年目 。

4年目。訳あって前年と同じ鉢。

ようやくそれなりの株に。

4年でようやく「見られる」株に。

4年目のこの年で開花するかなっと思いましたが、このボリュームでも開花せず。

 

そして5年の株。

白い葉のエリンジウム。

5年目。

初開花を迎えた5年目はこれくらいのボリュームです。

9号鉢の縁の白い部分がようやく見えなくなりました。

花芽が伸びると株の形が崩れます。

花芽は日光に向かって上に伸びます。

育て方

エリンジュームマリティマム の芽吹き

4年目の春を迎えたときの様子

エリンジウム・マリティマムを育てる上で、まず覚えておく必要があるのは

 

メモ

砂地の海岸に自生している

 

ということです。

砂地の海岸に自生しているということを念頭に入れ続いて耐暑性と耐寒性について。

耐暑性

暑さに強いシルバーリーフ

高温多湿はまったく問題ないです。

湿度80%、気温40℃の環境でも鉢植えですがまったく問題なく育っています。

 

イタリアのシシリア島、トルコのチェシメなど真夏の直射日光で人間の肌が軽い火傷になるくらい強烈で、しかも気温が35℃以上になる海岸でも自生しています。

余談ですが真夏のチェシメを訪れたことがありますが、昼間はやる気がなくなるくらい暑かったです。

 

このような環境でエリンジウム・マリティマムは自生しているせいなのか、国内の多くの箇所で植物を育てる場合にまず気をつけなければならない点である「高温多湿」はそれほど気にする必要はありません。

 

だからと言って蒸れに強いわけではありません。混植・密植しても良いというわけではありません。

 

海岸でまったく風がない状態というはあまりないかと思います。

海岸に多く自生しているので風が絶えず吹いていて空気が滞留しない、というのは容易に想像できますね。

耐寒性

エリンジウム・マリティマムの芽吹き

冬季はほぼ地上分がなくなります。4年目の株です。

耐寒性ですが自生地をざっと調べてみると、

ウクライナ、オランダ、スウェーデン、デンマークなどの地域の海岸でも自生しているのがわかりました。

「わかりました」と断言できるのはインスタグラムでマリティマムの自生している場所をタグ付けして投稿をしている方がいるからです。

そこから「地名+気候」と検索するとその地域の気候が出てくるのでそこから先は類推できます。

 

色々な投稿を見て自生している地域で一番低温になるであろう場所はスウェーデンとノルウェーの境かなっと思います。

その地域の過去の最低温度は-25℃で、2月の平均気温は-2.6℃、でした。

 

耐寒ゾーンでは-20℃ほどでも問題ないというものの、実際に自生している姿が見ることができ場所(地域)が把握でき、さらには気候も調べられるというのは、インターネットの恩恵でしょう。

 

また雪に関してはどの地域も降雪はあるものの、主に海岸に自生しているため雪が積もったまま数ヶ月、というのはあまり想像しにくいかなっと思っています。

 

仮に雪の下に数ヶ月埋もれている場合でも砂地という水はけ最強クラスの土壌なので、

もし雪が積もる地域で地植えされる場合は水はけを思いっきり良くしたり、レンガのすぐ脇に植えるなどの工夫をされると良いかと思います。

レンガは吸水しますからね。

 

なお、冬の間の根腐れについてはこちらをご覧ください。

耐寒性は問題ない気温なのに植物が枯れる原因を考えてみた。原因は寒さではない可能性が高いです。

水やり

一般的にエリンジウムは乾燥に強い、と言われていますがマリティマムに関しても同じことが言えます。

3.5号ほど程度の大きさの苗で、初夏以降に一度水をやると2~3日は水分が無くならないような保水力のある土に植えると根腐れします。

 

重複しますが自生している場所は砂場です。水はけは最強クラスです。

 

そのためか発芽し葉が数枚しか出ていない小さな苗の状態の数か月の間の水のやりが一番難しいです。

根腐れを簡単に起こします。ホント、小苗の時は根を腐らせないかと気を使います。

 

実際に僕もこの段階でやらかしています。

せっかく発芽した3苗の内2苗をこの段階で枯らしています

その他

なんども「自生している場所は砂地の海岸」と書いてきましたが上手く育つには「こうした方が良いだろう」ということがあります。

 

より健全に育つには貝化石などの海水由来のミネラル分が土にあった方が良い

 

っと思います。

 

本来でしたらもっと花が青いので、初めて開花したこの株の花は薄いのでもしからしたら土のphなども関係している気がします。

このあたりは来年実践してみて追記します。

直根かな

発芽したてのエリンジウムマリティマム

ジャカランダの鉢から発芽してました。

上のほうで「種子寿命が長い」と書きましたが、ある年にいきなりジャカランダの鉢から発芽してきたことがあります。

僕は使い古したり廃棄苗の土を発酵させ再利用していますが、ジャカランダを植え替えた時に自分で作った土に植えその土にどうやらこのエリンジウムの種を播いたプラグトレイの土を混ぜていたようです。

双葉も他の植物とは違い特徴的な形をしているのですぐに何かわかりました。

 

僕は土を米ぬかで発酵させる方法で土を使えるようにしていますが、米ぬかが発酵する温度は60以上と言われています。

エリンジウム・マリティマムの種は60℃になっても死なないということがわかった瞬間でした。

エリンジウムマリティマムの根

ながっ!

ジャカランダの根を見てみるとびっくり。

1本だけ長い根が。

長い根

長い根

途中でちぎれないように慎重にはがしてみて、その長さを確認。

細根は少なくとにかく下に向かって1本だけで攻めてる感じです。

 

海岸の砂地という場所で自生しているので、おそらく水を求めてとにかくまずは下に向かって根を伸ばすんだろうなっと想像できます。

また砂地は柔らかいので根が伸ばしやすいというのも想像できます。

 

ちなみにエリンジウムはセリ科ですね。

「直根+セリ科」という組み合わせでピン!と来ることがないでしょうか。

 

ココに注意

そうです。根を切り移植するとほぼ確実に枯れます。

植え替えも庭植えの際の移植も極力根を傷つけず行わないといけません。

根洗いなんてもってのほかです。

 

他のエリンジウムは株分けとかそれほど気にせず行えますが、このエリンジウムは株分けするとおそらく枯れます。

そのため庭植えする際は予め植える場所をしっかり決めておき、「移動できない」ということを覚えておいてください。

もちろんジャカランダの鉢から発芽した画像の苗は育たず枯れてます。

 

「直根」という性質を念頭に入れておくとより栽培しやすくなると思います。

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というわけで今日はエリンジウム・マリティマムでした~

ではでは~(^^)v

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